季節の一言。


色んな言葉に感じてくれれば光栄です。


960    オリーブとあの子
 
あの子は手首に傷があった
当たり前のように傷があった
 
見なくてもわかっていた
あの子に必要なパーツだった
 
 
俺とあの子は水と油のように
接しても混ざらなかったから
 
オリーブを噛みながら
会話も交わさずに
 
見ているようで見ていないテレビと
落ち着いたようで落ち着かないあの子
 
遠く離れた近い距離は
決して埋まる事はなかった
 
 
あの子は俺にも傷を残した
爪を立てて牙を立てて
 
赤く滲んだそれは
あの子の痛みだったんだろう
 
 
あの子は独りだった
俺は一人だった
 
それだけの違いがあった
 
更新日時:
H22年12月26日(日)


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