なんでか忘れたけど中学の時、家出した。
確かつまんない事で親とケンカしたんだ。
チャリンコに乗ってありったけのCDをバッグに入れて。
イヤホンから聞こえてくる音楽を聴きながら俺はひたすらチャリを走らせてた。
しばらくすると家出の原因は忘れていた。
代わりにお互い引越しして会えなくなった好きな子の事を、
聴いてた音楽の歌詞に重ねて思い出してた。
今、あの子は何してるのかな。
好きな人はいるのかな。
出来れば偶然、どこかで会いたい。
もう会う事は無いんだろうか。
遠すぎて思い出の中でしかあの子には会えない。
どうにもならない事を考えててもしょうがない。
とりあえず走ろう。
眠くなるまでずっと走ろう。
思い出の中の彼女はどこまでも完璧だった。
忘れたくても忘れられなそうだった。
とりあえず、頭を真っ白にするために走った。
その距離、60キロ。
途中から朝日が昇り、眩しかった。
と、同時にすがすがしい気分になった。
いつまでもウダウダ考えてる場合じゃねえ。
新しい土地に引っ越して少々気分が落ちてたらしい。
住めば都になるはずだ。
とりあえず楽しもう。
新しい土地で好きな子を作ろう。
親友も作ろう。
そうすればもっと楽しくなるはずだ。
もう一度言う。
ここまで来た距離は60キロ。
もちろん帰りも60キロ。
無論、帰りはヘトヘトで自分を「何やってんだバカ!」責め続けた。(笑)
往復120キロ。
結果、ウダウダ悩まない生き方が出来るようになった俺が完成。
中学1年の春だった。
2003/10/25
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