ずーっと考えてきたんだ。
『なんで生きてるんだろう』って。
何度か答えは出たんだ。
『生きてる事に意味なんて無い』って。
それでも楽しかったり面白かったり辛かったり苦しかったりして、
そういう『感情』が生きてる事なんだって思ったんだ。
それでも俺は考えたんだ。
もっともっと先を考えたんだ。
5年や10年じゃない。
自分の最期を考えたんだ。
80歳で普通の人間は死ぬのかもしれない。
俺は人よりも幸運だから500歳くらいまで生きるかもしれない。
それでもたったの500年なんだ。
俺は500年じゃ足りない。
もっともっと生きたい。
だから、その方法を考えたんだ。
『俺が生きてるという事』の定義から考えたんだ。
『生きてるという事』は『考えたり感じたりする事』だと思った。
結局は脳が生きてりゃいいんじゃないか、って結論に至ったんだ。
身体はいつか朽ち果てる。
この身体は1000年も使えないんだ。
ヤワに出来てて困っちゃうね。
だから身体は機械でも何でもいいって結論に至った。
その方が便利だろうしね。
脳をどうしようか考えた結果、マイクロチップにコピー出来る事に気が付いたんだ。
人間が何かを考えたり身体を動かす事だって電気信号だから。
で、それは俺が生きてる間に作られてもおかしくはないんじゃないかと思った。
なんか少しだけホッとしたんだ。
次にそのマイクロチップが壊れたら死ぬんだって思ったんだ。
だからコピーを作ってバックアップ機能を持たせる事にしたんだ。
世界中にそれを保存しておけば、どれか一つは残るんだろうって思ったんだ。
毎日、バックアップを取っておけば死んでもすぐに生き返れるしね。
そして何をしようか考えたんだ。
まずは世界中の言語を勉強する事にしたんだ。
世界中の人と話したいから。
それでも、それは1000年ぐらいで事足りると思うんだ。
それぐらいじゃまだまだ命は使い切れてない。
次に色んな文化を学ぶ事にしたんだ。
美術、音楽、工芸、催事…世界中の文化を深く学ぼうと思ったんだ。
それは果ての無いモノに思えるけど、100万年もあれば終わっちまうと思うんだ。
100万歳。
それでもまだまだ命は終わらない。
そしたら次に、他の人の人生を体験したくなるはずなんだ。
一人の一生をずーっと眺めて、それを何人も何人も見守って。
それで使う時間は膨大な年月になると思うんだ。
60億人の人生を80年体験したら4800億年。
そこまで考えてある事に気が付いたんだ。
その前に地球は死んじまうんだって。
地球の寿命はあと50億年しか無いんだ。
俺の方が長生きだけど、地球が死んだら俺も死んじゃうんだ。
そこで終わっちまうんだ。
俺の命はそこで終わっちまうんだ。
楽しんで笑って、
悲しんで嘆いて、
苦しんで叫んで、
幸せで喜んで。
そんなのも全部、塵になっちまうんだ。
万が一、太陽系を離れていたとしてもいつかは宇宙に終わりが来るんだ。
そこで全部終わっちまうんだ。
始まりがあるから終わりがあるんだ。
だけど、それに意味なんかあるのかよ。
俺はもっと生きたい。
だから俺は宇宙を超越した存在になるしかないんだ。
『神様』ってのがその名前だと思うんだ。
だから俺は多分、1兆年後には神様になってると思うよ。
やりたい事は全部やってきたから、今までもこれからもずっとそうする。
それまでは『人間』として考えたり感じたりするんだ。
それでも俺は普通に死ぬのかもしれない。
その時には俺の遺伝子がこの世界を見続けて欲しい。
だから子供を残したい。
それでも俺の子孫はいつか絶えるかもしれない。
だから書いてんだ。
文章は残せるから。
こういう風に。
2005/08/04

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