俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 51   ピザの配達。
 
一時期やってたんですよ。
ピザデリバリーのバイト。
高校生の頃だね。
結構楽しかったなあ。
原チャリに乗ってるだけで金が貰える。
そんなに楽な仕事ならやるしかない。
動機はそのぐらい単純なものだったけど。
 
まずピザをカットするコツを覚えなきゃいけなかった。
ピザカッターでピザを上手く切るには
垂直に上から押しながら切らなきゃいけない。
素人はどうしても寝かせて切っちゃうんだよね。
それじゃあピザはくっついたままになっちゃうんだ。
 
そして3輪バイクに慣れる事。
これが一台一台乗り心地も違うしモノによっては
ブレーキが全然利かなかったりと困難の連続だった。
そして何よりもサイドブレーキがあるのが特徴だ。
普段乗ってた原付にはそんなものは当然無かった。
ということはサイドブレーキを引く癖が付いて無かったって事だ。
見事に最初の配達先でコケさせたね。
オイルが軽く漏れるぐらいに。
 
まあでもそれより問題は地図を覚えなきゃいけない事。
はっきり言ってこの仕事は地図を見れなきゃダメだ。
幸いにも俺は地図を見るのは得意だったので
飲み込みは早かった。
しかし土曜の夜にもなると3軒連続で行かなきゃいけない事態にもなる。
そうすると地図も3倍覚える必要があるわけだ。
最初の頃は辛かったね。
道がわからなくなったり、ど忘れしたりで。
PHSで店に電話しながら行った時もあったなあ。
 
事故った人も何人かいる。
いずれも大事には至らなかったが。
その中でも一番酷かったのはSさんだった。
彼は運転中に寝てしまったのだ。
そのまま前の車に突っ込んでいったそうだ。
気が付いたら歯が折れて口が血だらけだったらしい。
 
俺は事故も無く、無事にやっていけた。
 
しかし事故りそうになった事はある。
雪が積もっていて10メートルほどスリップして
電柱を蹴ってなんとか大通りに飛び出ずに済んだという事があった。
 
あとはクリスマスの日にサンタの格好で配達してたら
公園から小さい子が飛び出してきて轢きそうになった事もあった。
「サンタさんだー!」と嬉しそうに駆け寄ってきやがったのだ。
とっさにハンドル切って良かったぜ。
「このガキャア!飛び出てくんじゃねーよボケ!」
そういって有也サンタはその場を去った。
 
クリスマスはピザ屋にとって一年で一番忙しい日。
常に3軒、4軒連続で行かなきゃいけないのだ。
轢きそうになっても止まるわけには行かない。
 
そしてその後、ある家にピザを届けるとこんな事があった。
その家の奥さんに受け渡しをしていたのだが、
「お待たせしましたー。ええと代金の方は2470円になりますね。」
「はい。ちょうどお預かりします。ありがとうございました。」
そう言って立ち去ろうとすると、
「あ、ちょっと待ってください。」と呼び止められた。
「え?あ、はい。」何の用だろうか?と思っていると、
「タクちゃーん!サンタさんよー!」子供を呼ばれた・・・。
 
「このクソ忙しい中テメエのガキの相手をしてる暇はねえんだよ!」
そう思いながらも今は仕事中。
「サンタさんだよー。」と笑顔で接客。
しかしその直後、俺は彼を抱き上げこう囁いた。
「もうピザあげたから今年はプレゼントは無いからね。」
 
 
いやいやあの時はスッキリしたよ。
泣きそうな子供の顔が良かったなあ。
 
 
2003/01/06


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