オイオイ、昭和の風を感じてならねぇな。
:解説:
弟分の赤井のために物件を探しに行ったんです。
学校帰りにね。
まあそんなに大きい不動産屋ではなかったんですが、そういうトコは押され負けしなけれ
ば掘り出し物に当たる可能性も高いかなと思いましてね。
で、そこのおばちゃんと話して良いトコ探してもらったんです。
そしたら有りましたよ、掘り出し物。
風呂トイレ別で和室6畳+キッチン4畳。
中野区内なんですがね。
家賃が6万2千円ですよ。
あまりに安いんで、「駅から遠いの?」と聞くとおばちゃんは「私の足なら徒歩10
分。」と一言。
この条件でこの家賃は安くないっすか?
そこで「是非、見に行きたい。」と言うと時間も遅かったせいか、今日はちょっと無理だ
と言われました。
明後日に見に行く約束をし、俺達は学校に戻ったんです。
でもすぐに、「どうせ暇だし、外観だけでも見てみるか?」って話になりました。
住所だけは聞いてたんでなんとか行けるんじゃねえかってね。
しかし、着いてすぐにその安すぎる家賃の謎は全て解けた。
ジッチャンの名にかけて。(笑)
そのアパートに入っていく小道から感じる風は間違いなく昭和。
ケンケンパをやってる女の子の幻が見えてもおかしくない程の勢いがあった。
ここで生活してたら間違いなく精神が病んでしまうだろう。
掘り出し物っつっても限界があるだろうがよ。
掘り出し過ぎだよババア。
さらにあのババアは「駅から徒歩10分」って言ってたのに、俺達が計ったら15分だっ
た。
俺達は決して足が遅い方じゃない。
むしろ早い方なのにも関わらずだ。
そこで俺はババアのセリフを思い出した。
「私の足だったら徒歩10分。」
なるほど、あのババアの歩く速度は俺達の1,5倍に相当するらしい。
俺達の中であのババアのあだ名はマッハ・ババアに決定した。
こりゃ明日も物件探しだね。
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