Love at once


 41   どこにでもある話
 
私がそんな風に生まれ育ったらどう感じていただろうか。
京也さんは淡々と話を続けた。
 
「何も驚く事は無い。どこにでもある話だ。」
「お母さんは何で京也さんを産もうとしたの?」
 
「自分の子供には変わり無かったから。それだけだよ。」
「すごいね。」
 
「いや、お袋にとっちゃそれが"普通"なんだよ。そこで堕ろすって選択をする方がお袋にしてみれば"異常"なんだ。」
「私だったら産めない。」
 
「うん。それが世間で言うところの"普通"なんじゃない?ウチのお袋は愛情が無制限に溢れ返ってる人だったからねぇ。」
「だった…過去形?」
 
「うん。10年前に俺の目の前でトラックに跳ね飛ばされて死んだ。」
「…。」
 
私は絶句した。
 
 
更新:2004/12/14


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