色んな言葉に感じてくれれば光栄です。
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オリーブとあの子
あの子は手首に傷があった
当たり前のように傷があった
見なくてもわかっていた
あの子に必要なパーツだった
俺とあの子は水と油のように
接しても混ざらなかったから
オリーブを噛みながら
会話も交わさずに
見ているようで見ていないテレビと
落ち着いたようで落ち着かないあの子
遠く離れた近い距離は
決して埋まる事はなかった
あの子は俺にも傷を残した
爪を立てて牙を立てて
赤く滲んだそれは
あの子の痛みだったんだろう
あの子は独りだった
俺は一人だった
それだけの違いがあった
更新日時:
H22年12月26日(日)
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