季節の一言。


色んな言葉に感じてくれれば光栄です。


977    枯れ花
 
花束を差し出した
いつだか彼女が好きだと言っていたから
 
彼女は「キレイだね」と喜んだ
俺は彼女の笑顔を見て喜んだ
 
彼女は「ありがとう」と言った
俺ではなく花に向けて言った
 
彼女は俺の行為に感謝をしたのか
自分に捧げられた命に感謝したのか
自分の生活を彩る道具に感謝したのか
 
生けた花が生首のように思えて
ザラッとした気持ちがずっと消えなかった
 
 
ゴミ箱に捨ててある枯れ花を見て
ようやく理解できた
 
彼女のあの謝辞は
感謝をしたという事実を作っただけだ
 
 
俺が枯れたら彼女は俺を捨てるだろう
だから俺は生けた花を捨てた
 
更新日時:
H23年5月16日(月)


PrevIndexNext

[トップページへ]