小さい頃からウチの親父が言ってた。
『男はテメェの愛する女を守るもんだ。』と。
当時、幼稚園児だった俺は好きな女の子が居ませんでした。
なので、話半分に聞き流していました。
だが、それは限りなく基本に近い愛情の形である事に気付いたのだよ諸君。
送りはその基本。
好きな女が家まで無事に辿り着くかどうか心配じゃねぇか?
物騒な昨今、変質者や通り魔、チカンにひったくりと彼女を危険にする輩はいっぱいだ。
それを防ぐにはどうするか?
自分が直接、家まで送ればある程度は防げるんだ。
例えば、階段から転げ落ちても近くに人が通らなかったらそのままになっちまう。
自分が一緒にいてやれば、急な階段でも手を貸してやれる。
転げ落ちても病院に運んでやれる。
救急車の手配だってすぐにできる。
俺はこれが極端で大袈裟な話だとは思ってない。
いつだって不幸は突然やってくるもんだ。
そんな時に少しでも好きな女を守ってやるのは自分をおいて他に無いのだ。
家に送るのに時間が掛かろうとそんなもんは大した問題じゃねぇ。
俺はわずか20mの距離でも夜は危険だから送るべきだと思うのだ。
彼女の家の近所のコンビニから彼女の家まで行くのに20m。
駅は反対方向にあるとする。
すぐそこだからコンビニでバイバイ、そんな事は絶対にしねぇ。
俺は確実に家の前まで送るべきだと思うのだ。
20mの間が全て明るい繁華街ならいいが、普通は住宅街だろう。
繁華街で人通りが激しいとしても刃物を持った男に襲われている他人を助ける、
そんな勇敢なヤツが彼女の近くを通りかかっている保証はどこにも無い。
男連れの女が襲われる確率は単独のそれよりも低いだろう。
だから俺は家の前まで送る。
男はテメェの愛する女を守るもんだ。
俺はいつでも最悪のシチュエーションを思い浮かべる。
それがピンチになってもマヌケ面でアタフタしねぇために昔からやってきた生き方だ。
俺はピンチに強い俺の親父みてぇな男になるんだよ。
2005/10/01
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