俺はハッキリ言ってプロレスってのが好きじゃなかった。
「何で格闘技にヤラセがあるのか」と思ってた。
なぜならばプロレスはわざとらしい動きが多いからだ。
ロープに投げられて跳ね返ってくるとか。
わざわざフラフラして技に吸い寄せられるて行くとか。
ジャーマンスプレックスを受ける側がジャンプしてワザと喰らうとか。
そんな光景を見るたびに俺はTVに向かって、
「どう考えても避けられるだろアレは!」
とか言っていた。(なんだかんだ文句言いながらも見てるわけだが)
「プロレスはショーだ。」と本場アメリカのプロレス協会は言っている。
しかし俺はこの「ショー」という物言いも納得行かなかった。
「真剣勝負だ!」とか言っておきながら、「ショー」とはどういう事だボケ!と。
「ショー」って言葉が「ヤラセ」を美化した言い方にしか聞こえなかったからだ。
それでもプロレスにハマっている人は多い。
それには何らかの理由があるはずだ。
俺はそれが知りたかった。
その理由を。
熱くなれる理由を知れば俺の人生もまた一つ深いものになるような気がした。
俺は根が生真面目なのかもしれない。
「ヤラセだ。くだらねぇ。」と言って見なければいいだけの話だが、
それでは俺がある一つの文化を理解しないまま一生を送るような気がしたんだ。
それは心に引っ掛かる。
そこで俺は調べる事にした。
プロレスでは何故技を喰らいに行くのかを。
そして俺の心のモヤモヤをスッキリさせてくれる文章を発見した。
「プロレスは他の格闘技とは違い、
相手の力を最大限に引き出した上で勝つという、
『受け』の美学があるのである。」
すげぇ。完璧だよ。
俺の考えが浅はかだった。
プロレスってのは相手の技をあえて受け、
それでも「全然効かないぜ!」という強さを相手に見せる格闘技だというのだ。
そしてジャーマンスープレックスやバックドロップを受ける時に受ける側が飛ぶのは、
自分のタイミングで受ける体勢にするためだからだという。
もしも相手の力だけで技を受けるとムチ打ちの様な感じになってしまうそうだ。
俺はこの文章を見てからプロレスが見たくてしょうがなくなった。
相手の技を受けてそれでも立ち上がり、もっとすごい技で返す。
ネバーギブアップの精神。
それは他の格闘技には無い「美学」だ。
他の格闘技は相手の技をいかに封じるかが大事だ。
しかしプロレスは相手の力も全て受け止め、その上で勝つ事が大事だという。
今、俺の中でプロレスが熱い。
:追記:
小さい頃は結構プロレスを見てた。
その頃は確か「キン肉マン」が流行ってたんだ。
そしてプロレスを見るときはいつも梅干しを食ってた思い出がある。
田舎のおばあちゃんが送ってくれた梅干しを。
だから俺の中では「プロレス=梅干し」なんだ。
梅干しを見たらプロレスを思い出し、プロレスを見たら梅干しを思い出す。(笑)
2003/10/20
|