俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 233   a long time ago...
 
--1999.2.7--
 
ケータイが鳴り止まねぇ。
そういや先輩に仕事が終わったら連絡するって言ったんだっけ。
 
でも、今日だけは。
このチャンスだけは逃せねぇんだ。
ゴメンよ先輩。
明日掛けるよ。
 
-Power off Good bye-
 
知り合いのパブのカウンターで酒を飲む。
横にはイイ感じに酔っ払った大好きな女がいる。
彼女が家に帰る前に声を掛けてよかった。
 
「二人で飲みに行こう」
 
彼女はもう出来上がってる。
俺は酒が強くて良かった。
それでも今夜は少々喰らっちまってるがな。
 
知り合いの客が声を掛けてくる。
「おい、有也。彼女平気か?大分出来上がっちゃってるぞ。水飲ませてやれよ。」
「そうっすね。オイ、水飲んどけよ。」
「うん・・・。らいじょうぶ。」
「ハハッ、だいじょばねぇよそりゃ。」
 
目の前にいるホステスの女の子に声を掛ける。
「ゴメン、水貰っていいかな?」
「あ、うん。ちょっと待ってて有也くん。大丈夫?彼女。」
 
「うん、ゴメンね。ありがとう。」
「彼女、帰りは車?」
 
「うん。でも運転は無理だな。俺が送ってく。」
「そっか。有也くんも気を付けて。」
 
「ありがとう。」
 
彼女はとうとう突っ伏してしまった。
「おい、ホラ。水貰ったぞ。飲みな。」
「うん。ありがと。」
 
半分ほど飲むと彼女は深呼吸してまた突っ伏してしまった。
 
俺はカウンターにいる女の子に目配せし、指でバツを作った。
女の子は「チェック?」と口パクで聞いた。
俺は黙ってうなずいた。
 
会計を済ませ、俺は彼女の肩を揺すった。
「おい、行くぞ〜。」
彼女はポーっとしながら、
「ん?もう出るの〜?わかった〜。」と言って俺に寄りかかってきた。
 
「まったく、しょうがねぇな。」
そう言いながらも俺は寄りかかられた事でドキドキしていた。
 
「ほら、おぶってやるから。」
素直に彼女は乗ってきた。
「しゅっぱ〜つ!」
だめだコリャ。
 
車に乗り込むと彼女は「どこ行くの〜?」と聞いて寝てしまった。
 
時間はAM3:00。
彼女の寝顔を見ながら俺はアクセルを踏んだ。
 
 
20分後。
俺は国道沿いの派手な造りのラブホテルに着いた。
途端に心の中で天使と悪魔の葛藤。
 
「おいおい、こりゃあまりにも軽すぎねぇか?これで信用しろったって無理でしょ。」
「いやいや、何言ってんだよ。絶好のチャンスじゃねぇか。なし崩しちまえよ。」
「でも本気で好きなのに、こういうのは卑怯じゃねぇか?」
「バーカ。本気で好きだからこそ抱きてぇんだろ?」
「・・・・・・・。」
「なぁ?そうなんだろ?」
「ちっ、違う!断じてそんな事は!」
「正直に行こうぜ。SEXから始まる愛だってあるだろう。」
「そんなの本当の愛じゃ・・・。」
「形にこだわんじゃねぇ!うかうかしてる場合かよ!」
「う・・・。」
「他の男に取られちまってからじゃ遅いんだぜ?」
「わかった。今日はおまえに主導権を譲ろう。」
「アフターフォローは誠意。おまえの仕事だろ?今日は俺の出番だ。」
 
この日は悪魔が勝ったようだ。
 
 
「うーん・・・。」
「あ、起きたか?」
 
「ここドコ?」
「お城。」
 
「お城かぁ。」
「そうだよ。お城で休ませてもらおう。」
 
「え〜。ラブホじゃん。嘘つき〜。」
「さっ、行くぞ。」
 
俺は彼女の返事を待たずにドアを開けて外へ出た。
助手席側のドアを開け、足元のおぼつかない彼女に手を差し出す。
 
「歩けるか?まだフラつく?」
「うん、ちょっと。」
 
彼女が『行かない』なんて答えを言い出す前に、
行く事を前提をした、「歩けるか歩かないか」という質問を繰り出す。
 
「じゃあ俺の肩に掴まりな。」
「あ〜クラクラする。」
 
この分ならOKだ。
 
 
10分後。
彼女はガラス張りの風呂でシャワーを浴びている。
俺は丸くデカいベッドに座って一服している。
天井にはそれを全て映す丸くデカい鏡。
 
この分ならイケる、だがこんな事で信用される訳が無い。
今回はホントに寝るだけにして何事もなく過ごし、起きたら帰るか・・・。
 
いや、でも彼女から「シャワー浴びる」と言ったわけだし、
それは暗にOKってサインなんじゃねぇか・・・。
だってガラス張りだよ?
わざと入る前にお湯を目一杯出して曇らせて見えないようにしてるとはいえ・・・。
 
キュッキュッ。
 
急にそんな音がした。
「ん?何の音だ?」
俺が振り返ると、彼女は指でガラスに「バカ」と書いていた。
 
彼女は別のラクガキをするたびに曇りガラスは晴れていく。
ガラスの曇りの無い文字の部分から彼女を見ると目が合った。
片手でその豊満な胸を隠しながら笑顔でこちらを見ている。
・・・下見えちゃってますけど。
 
神様、もう無理です。
今夜は耐えられる自信がありません。
だって俺はまだ19才だもの。
そして彼女は恐ろしいほどスタイルがいいんだもの。
 
彼女の声が風呂から響いてくる。
「見ちゃダメ〜。」
「じゃあ書くなよ!おまえが書くたびに見える範囲が増えちゃうだろ!」
「あ、そっか〜。」
 
いつものボケボケした声が響いてくる。
堪らないほど愛しい。
 
やっぱり本気で付き合いたい。
心の葛藤は終わらない。
 
ガチャ。
「ふ〜気持ちかった。でもちょっとのぼせるトコだったよ。」
 
バスタオルを巻いて彼女が出てきた。
もう無理。色っぽ過ぎる。
俺は彼女をそのまま抱きしめた。
 
「もう無理。」
「え〜?」
 
「おまえを抱きたくてしょうがねぇ。」
ベッドに彼女を押し倒す。
 
「キャー♪捕まっちゃう〜。」
彼女は押し倒されて楽しんでる。
 
「バカ、俺本気なんだよ?」
そう言いながらバスタオルを引ん剥いて抱きしめる。
 
今、何を考えてるの?
俺の事をどう思ってるの?
酔っ払ってるから遊んでくれてるだけ?
からかってんの?
 
もういいや。
何でも。
 
俺は本気だよ。
今まで言わなかったけど。
これから行動で示すよ。
 
今夜はただ、オマエを抱きたい。
 
-AM4:00−
また人を愛せるようになった自分を嬉しく思った。
 
 
-1999.2.14-
バレンタインデーのこの日、俺は彼女から「GODIVA」の木箱に入ったチョコを貰った。
俺の果敢な口説きに負けた彼女は付き合うことを承諾してくれた。
天にも昇る気持ちだった。
 
 
-1999.2.24-
20歳になったばかりのこの日、俺は彼女を乗せて派手に事故った。
再び掴んだ夢と希望は一瞬にして大破した。
俺は泣く事も出来ず、ただ心を殺した。
そして笑えなくなった。
 
 
2004/05/31


前のページ 目次 次のページ



[トップページへ]