LIVE2006ニュースJAPANを見ていたら、ゲストのおっさんがこんな事を言っていた。
『今まで彼に期待して応援してきた人間が次々と離れて行っている。
私はこういう風に何かあるとすぐに手の平を返す人間を信用出来ません。』
これだよ。
俺の17日に書いた日々の一言で言いたかった事はこういう事だったんだ。
なぜ、最後の最後まで味方でいてやらないのか。
なぜ、すぐに見放してしまうのか。
そんな事を考えてたら昔の事が頭をよぎった。
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高校時代、俺の友人にTという男が居た。
彼にはHという彼女が居た。
バイトが同じだった事もあって、2人の共通の友人は多かった。
俺もその1人だった。
ある時、彼女が「もう彼と別れようと思う。」と言った。
「どうして?Tとあんなに仲良かったのに。」とみんなが聞くと、
Hは「彼とは最近、スロットばかりで遊ぶ機会が無いの。」と寂しそうに言った。
「それはダメだねぇ。」
「あぁ、アイツはスロットが好きだからな。」
「もう病気だよ。治りっこねぇよ。」
みんな口々にそう言った。
Hは「やっぱり私も遊んだりしたいし…。このままじゃちょっと…。」と続けた。
俺はこの時、みんなの事が嫌いになった。
俺はTがどれだけHの事を好きなのかを知っていた。
いや、みんなも知っているはずだった。
しかし、みんなはすぐにTをダメだと決め付けてしまった。
俺はこんなヤツらを絶対に信用できない。
こんな調子じゃ俺もいつかは手の平を返されるに決まってる。
俺はその場を立ち去った。
それ以上は聞くに堪えなかったし、一緒に居たくなかった。
数日後、HはTに別れを告げた。
Tは「わかった。」の他には何も言わなかったらしい。
そしてさらに数日後、俺が街でプラついているとTに会った。
「おう。」
「よぅ、有也。」
「別れちまったんだって?」
「あぁ、もう付き合っていけないって。」
「そうか。」
「仕方無いっすかね。」
「ホントはイヤなんだろ?」
「しょうがないよ。」
「みんな誤解してんぜ。」
「なんて?」
「TはスロットばっかでHを構ってやらなかった、って。」
「…別にそれでもいいよ。面倒くせぇ。」
「ホントは違うんだろ?誤解を解いておけよ。」
「…違っても違わなくても、もう遅いんだよ。」
「いいのか?」
「いいよ。」
「…そうか。」
「あぁ…。」
「…寂しいな。」
「有也ぁ。」
「ん〜?」
「ホントはさぁ…。」
「うん。」
「俺、金を貯めてたんだ。」
「うん。」
「もうすぐアイツの誕生日じゃん?」
「そうなのか。」
「だから何か買ってやろうと思ってバイト入れまくってさぁ…。」
「うん。」
「そしたら終わっちった。」
「そっか。」
「あ〜ぁ。」
「俺は信じてたよ。」
「有也だけだよ。」
「しょうがねぇさ。アイツらはまだ子供だから。」
「そうだな。」
俺はタバコを取り出した。
Tはライターで火を付けてくれた。
シュボッ
「…軽く、そこら辺でも流しますか。」
「その辺のパトカーにでも蹴り入れますか。」
「赤灯でも割っちゃいますか。」
「行こうぜ。」
「おぅ。」
キュルルル ブォンブォン
2006/01/24
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