俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 460   変なお母さん。4
 
これは俺のたわごと『変なお母さん』シリーズのお話です。
まだ読んでない人は先に読んで来やがれブタ野郎。
 
 
 
あらすじ。
 
高校卒業間近、彼は18歳になった。
 
今日は彼女とデート。
 
彼の上着を買うのに彼女が付き合うという形だ。
 
彼の予算は1万5千円。
 
彼女が彼に似合う上着を選ぶという。
 
2人は彼の叔父にあたるテツ兄が経営している原宿のショップに向かうが…。
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
「あれ?タク坊じゃね?」
「久しぶり、テツ兄。」
 
「なにオマエら、つがい?」
「え?」
 
「付き合ってんだろ?」
「あ…、はい…。」
 
「じゃあ、つがいじゃん。来たよコレ。来ちゃったよコレ。」
「いや、小鳥じゃないし。何も来てない。」
 
「カワイイじゃん。彼女、カワイイじゃん。」
「あ、どうも。」
 
「カワイイじゃん。アヒルのヒナのようじゃん。」
「もう鳥ネタから離れてください。」
 
「みにくいアヒルのヒナのようじゃん。」
「コラ、待てぃ。」
 
「じゃあ孔雀のようじゃん。」
「それもキレイなのオスだけだし。」
 
「で、そんなチキン野郎どもが俺の店に何の用だい?」
「スゴイけなされたけど。」
 
「あの、タッくんにカッコイイ服を選んで買ってあげようと思って…。」
「そう、だからテツ兄のトコに来たんだ。」
 
「マジで?」
「はい。」
 
「デジマ?」
「は、はい。」
 
「じゃあ聞くけど、デジマってナニ?」
「もぉぉ〜メンドクサイよぉぉ〜。」
 
「出島?貿易港?ペリー?han?」
「黙れ。」
 
「OK、ペリカンども。」
「ペリーから繋いだつもりかオイ。」
 
「ナウイヤングがフィーバーできる服をオジさんが教えてあげよう。」
「なんかスゴイ不安だけど!」
 
「ディスコでエンジョイしたくないのか?」
「いや…世代違うし。もう自分で選ぶからいいや。」
 
「ウソだよ、タク坊。何系がいい?」
「…う〜ん…キレイめ…かな♪」
 
「エロテロリスト系かぁ…。ちょっと厳しいけど、確かこっちの奥に…。」
「インリン限定じゃねぇか。なんで売ってるんだ。」
 
「いや、淫乱オブジョイトイだ。」
「AVのタイトルみたいな言い方しやがって。」
 
「AV、すなわちタク坊の大好物。」
「えっ…。」
「べっ、別に見てないし!」
 
「ちゃんとテクを研究しないとダメだぞ。」
「そ、そんなの必要無いって。」
 
「オマエには不要でも彼女は必要だって顔してるぜ?」
「えっ!?」
 
振り返るタックン。
 
「そ、そんな顔してません!」
彼女は顔を真っ赤にして否定した。
 
「や〜い!騙されタックン!騙されタックン!」
「くっ…姉弟揃って…。」
 
「じゃあコレだな。」
「お、カッコイイじゃん。この上着。」
 
「いいだろ?」
「いくら?」
 
スッと指を2本出すテツ兄。
 
「2万かぁ、高いなぁ。」
「予算オーバーだね…。」
 
「いや、しっぺ一発だ。」
「金じゃないのかよ!」
 
「どうだ?」
「え…でも…マジでそんなんでいいの?」
 
手を差し出すタックン。
 
ビシッ!
 
「イッテェ〜!!!」
「大丈夫!?」
「今のはなかなかイイカンジだったぜ。」
 
「イテテテ…でもこれであの上着が手に入るなら安いもんだ。」
「ん?なんの話だ?」
 
「え…だから上着をくれるんじゃ…まさか…。」
「俺はオマエにしっぺをしたかっただけだ。」
 
「待てやコラ!」
「ヒドイ!」
 
「タク坊、俺もボランティアでこのショップをオープニングしてんじゃないんだよ。」
 
そう言ってテツ兄はタバコを吸う仕種をした。
 
「タバコねぇし!鬼!ドケチ!」
「あ、いいのかな?そんな事を言って。」
 
「どうせ安くする気は無いくせに。」
「んなこたないよ。」
 
テツ兄はニヤニヤしている。
 
「…ウソクセー。」
 
冷ややかな目で見るタッくん。
 
「じゃあ、俺が問題を出す。2人で同時にせーので答えろ。」
「合ってたら上着をくれるのか?」
 
「あぁ、あげるよ。」
「…持ち上げて『あ〜げた。』とか言うんだろ。」
 
「…さて、問題は…。」
「オイ!話をそらすな!」
 
「わかったわかった。正解したらタダで差し上げますよ。」
「やった!」
「頑張ろうね!」
 
「では、問題だ。」
「おう!」
「ハイ!」
 
「うどんとそば、さて、どっち!?」
「えっ?」
「えっ?」
 
「せーのっ!」
「そば!」
「そば!」
 
「…ハイ、おめでと〜。」
「やった!」
「やったね!」
 
「さて、次の問題。」
「えぇ〜!?正解しただろ〜!」
 
「ハイ。ぞうさんブリーフだよ〜。大事に履いてね〜。」
「うわっ、いらねぇ!」
「上着は〜?」
 
「ステップってもんがあるだろ。次!パンはパンでも俺が好きなパンは?」
「知らないし!」
 
「せーのっ!」
「ア、アンパン!」
「メロンパン…ナちゃん。」
 
「ん?ん?メロン…なんつった?」
「…メロン…パンナちゃん…。」
 
「・・・・・・・彼女はなに?タク坊の前ではいつもそうやってブリってんの?」
「うっ・・・・」
「そこ!彼女をイジメない!」
 
「…メロンパンまで言ったらタッくんの答えと違ってたからつい…。」
彼女が恥ずかしそうにうつむく。
 
「タク坊、女ってのはこうやって可愛いキャラクターを自分に重ねさせて
 自分を可愛い子だと思わせるという計算をしてんだ。気を付けろ。」
「違います!計算じゃないです。」
 
「聞いたか?タク坊。今のが証拠だ。
 彼女は計算って言葉の意味を知ってるんだ。と、いうことは…。」
「…あ。」
「ちがっ、タッくん!違うからね!」
 
「イヤらしい〜!チャー子イヤらしい〜!計算計算〜!」
「違います!もうやだ〜!」
「しかも何故チャー子って呼んだ!さてはオカン!」
 
「あぁ、さっき姉ちゃんから電話が来てチャー子をカワイがれと言われた。」
「くっ!あのババア…。」
 
「まぁいいや。ちなみに俺の好きなパンはクロワッサンね。」
「なんとかパンじゃねぇし!」
 
「むしろ、なんとかパンだとは言ってねぇし!」
「勘違いしたし!」
 
「ではチャー子ォ!」
「ハ、ハイ!」
 
「オマエ1人で最終問題だ。」
「えっ!?ハ、ハイ!」
 
「タク坊とキムタク、どっち?せーの!」
「タ、タッくん!」
 
「えっ…オレ…?」
その時、チャー子とタッくんはお互いの目を合わせ、すぐに照れて目を逸らした。
 
「…もういいや。上着持ってけよ。」
「え…いいの!?」
「いいんですか?」
 
「あぁ。」
「ありがとう、テツ兄。」
 
「じゃあ2万円になりま〜す。」
「え?」
「くれるんじゃ…ないんですか?」
 
「え?なんで?2問目で不正解だったじゃん。」
「じゃあ3問目はなんだったんだ…。」
 
「いや、なんとなく聞きたかっただけ。」
「ちくしょう!また騙された!」
「あぁ…。」
 
「残念だったな、タク坊。」
「…じゃあ他の店に行くからいいよ。」
 
「あ!じゃあこうしよう。」
「…なに?」
 
「竹下通りの真ん中で大声で彼女に好きだって告ったらタダ。」
「イヤだよ!」
 
「あちゃ〜。聞いたか?イヤだってよ、チャー子。」
「…イヤなの?」
「いや、そういう事じゃなくて…。」
 
「あそこのショップのお姉さんが好きだから?」
「えっ?」
「いや、喋った事も無いし!」
 
「あ、なに?そういう事にしなきゃマズイの?」
「ちょっと待て!彼女が誤解するだろ!」
 
「…そうなんだ。」
「違うって!テツ兄に騙されるなよ!」
 
「…じゃあ証明してよ。」
「そうよ。証明してよ。」
「くっ!またハメられた…。」
 
竹下通りの真ん中に立つタッくん。
しばらくうつむいて悔しがっていたが、やがて顔を上げて叫んだ。
 
「俺はヒロミが好きだぁ!」
 
「タッくん…。」
「タク坊…。」
「超ハズかったぁ〜!みんな注目してたし!」
 
「…でも、嬉しかったよ。」
「テツ兄、これで上着くれるんだろ?」
「あぁ、お代は姉ちゃんから貰ってるからな。」
 
「え?」
「いや、姉ちゃんがタク坊にはお小遣いをあまりあげてないから3万円までは買ってやるって。」
 
「おばさま…。」
「オカン…。」
 
「で、タダで買ってやるのはシャクだから、この罰ゲームをさせろって。」
「へへ〜ん!騙されタッくん!騙されタッくん!」
振り返るとそこにはオカンがいた。
 
薄れ行く意識の中でタク坊は思った。
『あぁ、アンタだったのか…』
 
 
2006/11/07


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