俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 572   同人という名の著作権法違反。
 
同人誌ってモノを初めて見たのは高校生の時だった。
 
高校の端っこの空き教室に漫画研究部(通称:マン研)ってのがあって、
そこの部室内の本棚に置いてあった『幽遊白書』の同人誌を読んだのだ。
 
それは蔵馬と飛影が男同士で組んず解れつする内容で、
読んで、『なにこれ…気持ち悪っ。』と声を上げた。
 
「こんなもん、作品に対する冒涜だろ。買う方も買う方だわ。頭イカレてんのか。」
俺がそんな風に吐き捨てると、マン研の女子部員たちはバツが悪そうに、
「それは先輩が置いていった本で…ゴニョゴニョ…。」と言葉を濁した。
 
そんな風に言葉を濁さなければならないようなもんだったら捨てりゃいいのに。
まったく、恥知らずな。
 
当時の俺はそんな風に考えていた。
 
 
時は流れ、現在は『コミケ市場も大きな商売になる』と踏んだ大人たちのお陰で、
クサレ同人を作っていた人間が、クサレ同人ホイホイな作品を量産するようになり、
コミケの規模も大きくなり、それに伴って同人オタが市民権を得たと勘違いしている。
彼らが得たのは市民権ではなく、“金ヅル”というレッテルなのだ。
 
そして、同時に『著作権も同人誌に関しちゃ暗黙の了解だよね。』的な過大解釈をしがち。
同人に関して、著作権が厳しく守られているのは米国のディズニー社くらいのものだ。
 
しかし、他のマンガなどに関しても、
著作者や出版社は何も言わないだけで許可しているわけではない。
(個人であれば同人作品の展開を明示的に許諾している作品もあるが)
 
許諾も得ていないなのに、大手を振って同人マンガで生計を立て、
その二次創作物をネットに無断転載されたことで、「著作権法違反だ」と訴える者までいる。
 
ブランドのコピー商品を作った奴が「コピー商品が盗まれた!」と大騒ぎするようなものだ。
もはや、何が何だか。恥を知らんのか。
 
著作者や出版社の側も、
その作品がファンの個人的な趣味なのか、金儲け目当てのパクリ商品なのか、
その辺の線引きが非常に曖昧な部分があるから、一概に規制すべきだとも言えない。
(二次創作を活性化させて、その作品自体の人気を増やそうという狙いに転ずるトコもある)
 
ただ、蔵馬と飛影が男同士で絡んで組んず解れつという内容の同人誌になると、
『著作者人格権』の中にある『同一性保持権』を侵害する内容になる。
(作品のイメージを著しく害する場合、この同一性保持権を侵害することになる)
こうなってくると話が違ってくると思うのだ。
 
同人誌には、こうした同一性保持権を侵害するボーイズラブ作品が多い。
それは間違いなく作品に対する冒涜である。
 
基本的に、変態どもが妄想を絵にするのは自由だ。
むしろ、その創作意欲は素晴らしいものであるとも思う。
仲間内で「こんなの描いたぜw」と楽しむのは大いに結構だと思う。
 
しかし、それを不特定多数の他人に見せるのは違う。
さらに、それを不特定多数の他人に売るのはもっと違う。
そうなると完全な犯罪行為だ。(正確には著作者人格権の侵害行為)
 
そのような自覚が無い人間が増えている。
嘆かわしいことだ。
 
 
仮に自分が、自分の家族を題材にしたマンガを描いたとしよう。
同人作品の中で、自分の家族がキチガイの変態野郎として描かれていたらどうだろうか。
 
そんな事をされれば、自分の家族を侮辱され、憤るのが当然だ。
悪意があるにせよ、ないにせよ、それが著作者人格権の侵害なのだ。
 
これは“嫌なら見るな”とか、“表現の自由”という問題ではない。
模倣は自由だし、誰もが最初は模倣によって上手になるものだと思う。
ただ、商用利用になると、作者及び出版社の権利いうものがある。
そのルールに従わないのは、起訴猶予中の身であるということだ。
 
 
ネット上で、このような書き込みがあった。
 
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何故同人誌が摘発されないか?コミケが続くのか?
 
・著作権元もいちいち訴えていたらお金がいくらあっても足りない
・企業ブースで儲けているところもある
・著作権元から許可が出ているところはOK
・出版社としては青田刈りの場
・建前は営利目的ではない
・その他もろもろ
 
訴えられる事例
 
・著作権元がキレるくらい売れた
・老後の貯蓄が出来るくらい売れた
・原作を越えた
・原作のイメージを著しく貶め、著作権元の逆鱗に触れた
・企業ブースで売る商品と被った
・明らかに営利目的
・見せしめ
・その他もろもろ
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この書き込みは的を射ていると思う。
本来なら、二次創作というのは自己満足的なモノの延長であるべきなのだ。
 
ファン「あの作品が好きだから、文房具とかあればいいのに…。」
 ↓
ファン「オフィシャルには無いから自分で作ろう!」
 ↓
ファン「キャラ絵入りのボールペン作ったよ!」
 ↓
友達「いいなぁ。私にも作ってー。」
 ↓
ファン「いいよー。じゃ、材料代だけちょうだいね。」
 ↓
友達「それだけでいいの?」
 ↓
ファン「もちろんだよ!だって、仲間じゃん!」
 ↓
友達「ありがとう!」
 ↓
ファン「はい、どうぞ。やったー。仲間が増えたー。^^」
 ↓
友達「やったー!うれしいな!あのマンガいいよね!><」
 
こういうカンジだよね。
これなら、権利の侵害にもなってない。
 
本来、コミケはこういう位置付けの延長にあったものだが、
それを何か勘違いしたオタが多くなっちゃったせいで、他の人も迷惑しちゃう。
 
盗っ人集団じゃないんだから、同人の本質は。
 
 
というわけで、社会から得たモノを模倣して色々と感じて自分の中に織り込んだら、
いずれは自分の作品を作ってそれを社会に献上して還元なさい。
 
貰ってばっかりじゃダメよ。
 
 
2012/04/27


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