俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 241   ヒドイ男の切れ味。
 
--2004年3月--
 
−あらすじ−
「私のバイト先にゴハン食べにおいでよ、私が奢るから。」
そんな事を少し前にある女の子に言われ、近くを通りかかったので電話してみた。
今日は出勤していると言うので、店に行った。
遠慮無しにうな重のセットを頼んで食い、その子のバイトが終わるまで待っていた。
 
 
 
「お、終わったか。お疲れ。」
「ふぅ、疲れたー。」
 
「で、新しい男でも出来たか?」
「・・・なんで?」
 
「いや、最近俺のトコに連絡してこないから。」
「それは前にもあったじゃない。」
 
「いや、今回のは違うね。それでもおまえはメールぐらいしてくるハズだよ。普段なら。」
「う・・・・・。」
 
「新しいの出来たろ?何人だ?」
「・・・3人。」
 
「ようやく俺の事を諦められるね。前進したって報告がしたかったのか?」
「・・・微妙。」
 
「3人も居るんだったらそれで満足だろう。喜ばしい事じゃん。で、どんなヤツラだい?」
「一人はペットみたいな感じ。可愛がってるの。20歳の男の子だよ。」
 
「20歳かぁ。まだまだお盛んな時期だな。いいじゃねぇの。で、次は?」
「28歳の人。私にベタ惚れな感じ。」
 
「ほほう。28歳か。年齢的にはベストじゃん。おまえ24歳だもんな。」
「そうだね。まぁ年齢的には。」
 
「もう一人は?」
「もう一人は25歳。一つ上。有也と同じ年だよ。まぁ普通に楽しいだけ。」
 
「そうか。3人合わせると年齢のバランスがいいな。」
「そうだね・・・。ハァ・・・。」
 
「どうした?体調悪そうだな。」
「オナカ痛いの。」
 
「疲れ過ぎと3人に突かれ過ぎが原因じゃないの?」
「違うよー。生理痛だよー。さっきまで貧血で倒れそうになってたんだから。」
 
「あ、そうなの?じゃあ来るべきじゃなかったかな。そういうのは早く言えよ。」
「ううん、大丈夫。」
 
「そんなに俺に会いたかったか。」
「うーん、微妙。」
 
「ハハッ。強がる女は好きじゃねぇぞ。」
「会いたかったよ。」
 
「うん知ってるよ。」
「変わらないねぇ。そういうオレサマ主義なトコ。」
 
「そんなトコロに惚れたくせに。」
「うーん、騙されるタイプだわアタシ。」
 
「騙した覚えはねぇぞ。人聞き悪いな。」
「アハハ。」
 
「勝手にハマったのはおまえだろ。」
「わーかーりーまーしーたー。私の負けですぅー。」
 
「あ、態度悪いな。」
「ゴメンなさい。・・・ってココの御飯、私のオゴリなんだけど。」
 
「あ、スイマセンお嬢様。私が悪ぅございました。」
「アッハハ。プライド無いなぁ。」
 
「言うだけやったらタダやからね。」
「鬼ー!あーオナカ痛い。28歳に迎えに来てもらおうかなぁ。」
 
「うん。そうしろよ。」
「昨日から痛かったの。で、電話したら来るとか言ってたんだけど断ったの。」
 
「呼べばいいのに。」
「だってここまで車で20分くらい掛かるんだよ。」
 
「そのぐらい待てるだろ。」
「それだったら電車で帰った方が早いじゃん。」
 
「裏で休んで待てばいいじゃん。どうせここのファミレス、おまえのバイト先なんだから。」
「うーん、それも考えたんだけど既にその時は帰り始めてたの。」
 
「そっか。」
「んで、駅に着いたぐらいの時にもう一回電話着て『大丈夫か?』って。」
 
「愛されてんじゃん。」
「うーん、でも彼は『おまえが会いたいと思うだろうから誘うんだ』って言ってた。」
 
「ほう。わかった風な事を言うじゃねぇか。」
「私は寂しがりやだから会ってやらなきゃ、と思うんだって。」
 
「ふむ。」
「呼べばいつでも行ってやる、とか。」
 
「なるほど。」
「そんな感じでいつも強気な事言うの。」
 
「ふーん。」
「私は別にいい、とか言ってるんだけどね。掌で転がしてる感じ。」
 
それからしばらく、【28歳の男】の話をした。
 
「そいつ、女に困ってたような男じゃねぇだろ。」
「うん。」
 
「むしろ普通以上に女に関わってきたろう。」
「うん、そうだね。どうしてわかるの?」
 
「だとしたら3人の中でおまえが一番ハマる確率の高いのがそいつだな。」
「なんで?」
 
「おまえは自分の掌で転がしてるように感じてるだろ。」
「うん。」
 
「本当はそいつ、ワザと転がされてるフリをしてるぜ。」
「え・・・?」
 
「会いたいと言うのも、迎えに言ってやるとか優しく言うのも慣れが見える。」
「確かに・・・言われてみればそうかも。」
 
「おまえはそれ系の男に弱い。必要とされたがる人種だから。」
「う・・・。」
 
「しばらくしたらそいつに依存して立場逆転されてるよ。」
「そうかも・・・。」
 
「話を聞いてるだけでもそいつが並以上の腕を持ってる事はわかる。」
「同じ匂いを感じる?」
 
「まぁ、俺には及ばないにしてもなかなかの腕だ。褒めてやるよ。」
「伝えておくよ。」
 
「しかし、おまえを落とすためにはもう少し突っ込むべき点があるな。」
「え、ナニ?どういう所?」
 
「まずは他の男の事を全部把握しておく事。」
「一度聞かれたけど居ないって言っておいた。」
 
「おまえの下手な演技も見破れないのか、わざと見過ごしてるのかだな。」
「どっちかかぁ。」
 
「そこを突っ込んで知っておく事が必要なんだよ。おまえ相手だと。」
「どうして?」
 
「おまえはそういう話をした相手に心を開くからな。」
「え・・・。」
 
「この人は私のしてる事を全部知ってる、と。」
「・・・・・。」
 
「そうするとおまえは他の二人がバカに見えるんだ。」
「・・・・・。」
 
「で、その人には全部知られているから一目置くようになる。」
「そんな事ないもん。」
 
「現に今そうしてるじゃないか。」
「え?」
 
「俺には全部話してるだろ。だから他の3人がつまらなく見えてる。」
「あ・・・・・。」
 
「裏を知ってる男と何も知らないでノホホンとしてる男。」
「うーん。」
 
「その差は歴然だよ。」
「有也には敵わないなぁ。」
 
「まぁいいや。そろそろ行くか。」
「うん。」
 
 
ピッ。
「鰻重セット1350円になりまーす。彼氏?初めて見たー。」
「違うのー彼氏じゃないのー。」
 
「え?違うの?」
「ヒモみたいな男なの。」
「ご紹介に預かりました。ヒモみたいな男です。ロクデナシです。よろしく。」
 
「ええぇ?そうなのー?ダメだよー。」
「俺もやめといた方がいいと思うんですけどね。」
「コラ!自分で言うな!」
 
「アッハッハ。」
「お疲れ様ー。またねー。」
「ハーイ。また明日ねー。」
 
 
「あー美味かった。しかし、ウナギはいまいちだったな。」
「奢ってもらっておいてそういう事言わないの。」
 
「米が安いな。使ってる水も良くない。」
「しょうがないでしょ。ファミレスなんだから。」
 
「そして鰻丼のタレも少ない。」
「アンタどこのグルメ評論家よ。」
 
「俺は和食の味にうるせぇんだ。」
「ごちそうさま、でしょ。」
 
「ハーイ。ありがとね。」
「いいの。久しぶりだし♪」
 
 
家に帰ってしばらくするとメールが来た。
『28歳に有也の分析を話したら参考にするって。』
『なかなかの腕だと褒めてやってくれ。』
 
『明日は迎えに行くから店で待ってろだって。強気になっちゃったよ。』
『じゃあ彼に頑張ってもらえ。』
 
『なんで?有也を知ったら他の人で満足出来る訳ないじゃん。』
『出来るよ。ロクデナシはとっとと忘れなさい。誠意のある人が一番。』
 
 
俺は自分から惚れないとダメなんだ。
俺は本気の女にしか本当の誠意は見せねぇ。
それ以外にも誠意の有るフリぐらいは出来るけどね。
 
でも、もうそういうのは辞めたんだ。
俺はもうホストじゃねぇから。
 
変に気持ちをグラつかせるだけならもう会わない方が良いね。
じゃないといつまでも諦めつかないだろうし。
 
ごちそうさま。バイバイ。
どうか幸せに。
 
 
2004/06/11


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