俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 396   高層ビルの揺りかご
 
高層ビルの揺りかごに抱かれて大きくなった。
周りに高いビルがある事で不思議と心が落ち着いた。
 
 
街はゴミゴミしてるのが当たり前で、
常に人と車があちらこちらに行き交っていて、
それが街の風景だった。
 
 
人が多いから出会いも沢山あって、
寂しさを感じた事なんて無かった。
 
 
それがいきなり無くなった時にも、
俺は寂しくはならなかった。
 
 
俺は今までも楽しくやってきたから、
これから先も楽しめるって信じていた。
 
 
 
それでも新しい土地に馴染むのは時間がかかり、
何度も心の中で【住めば都】と言い聞かせた。
 
高層ビルの揺りかごに戻れないのはわかっていたから。
 
 
ほどなくして俺は新しい土地に慣れた。
ここが俺の街だと胸を張って言えるようになった。
 
 
 
それから十数年の月日が経って、
俺は高層ビルの揺りかごに戻った。
 
 
揺りかごは色も形もサイズも変わっていた。
俺は少しだけ寂しくなった。
 
 
2005/09/26


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