俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 397   変なお母さん。2
 
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これは俺のたわごと 371:『変なお母さん』の続きのお話です。
まだ読んでない人は先に読んで来やがれブタ野郎。前回はこちら→
 
 
 
あらすじ。
 
17歳のある晩秋の日。
 
彼はウキウキしていた。
 
オカンが家を留守にするのだ。
 
今日は彼女を家に誘うチャンス!
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
今日は彼女と久々にイチャイチャできる。
 
あのオカンの邪魔も入らない。
 
部屋も掃除したし、例のミチコロンドンもまだあるし…。
 
 
ピンポーン
 
 
「あ、彼女が来た!」
 
彼は急いで階段を駆け下り、玄関のドアを勢い良く開けた。
 
「いらっしゃい!」
 
 
「あら、タックゥ〜ン♪」
 
 
そこには満面の笑みでオカンが立っていた。
 
 
バタン
 
彼は無言でドアを閉めた。
 
 
「ちょっとタック〜ン。どうして閉めるのよぉ〜。」
 
 
「きっ、気のせいだ…。オカンはどっかに旅行に行くって言ってたし…。
 そうだ、きっとマボロシに違いない…俺はきっと疲れてるんだ。
 うん、きっとそうだ。そうに決まってる…。そうじゃないと…イヤだ。」
 
 
彼はドアの覗き窓から外を見た。
 
「誰も居ない…やっぱ疲れてたのかな…。」
 
 
「で、これから彼女が来るわけね。」
 
彼が慌てて後ろを振り返ると、そこにはタバコを吸う素振りをしたオカンが立っていた。
 
「どうやって入ったんだアンタ!そしてタバコ持ってないし!
 第一、アンタはタバコ吸えないじゃねぇか!っていうか旅行じゃねぇのか!」
 
 
「こんな事もあろうかと思ってベランダを開けておいたのよ。
 物騒な世の中だから…ちょっとアタイもドキドキだったわ。」
 
「カッコつけて何言ってんだアンタ!空き巣が入ったらどうすんだ!危ねぇよ!
 っていうか旅行はどうしたんだよ。今日から行くんじゃなかったのか!」
 
 
「そんなのハナからウソに決まってるでしょ、タックン。
 タックンが彼女とハメハメする機会を作れるように仕掛けた罠よ。
 アタシを誰だと思ってるの?銀座の女王、恋の神様と呼ばれた女よ?」
 
「アンタの生まれは福島県!育ちは石川県!銀座になんて居た事ないだろ!」
 
 
「タックン…アナタ調べたのね…アタシが最も知られたくない過去を…。」
「いや、普通に父さんに聞いたんだよ。」
 
 
「もう〜サトルさんったらオチャメなんだからぁ♪」
「父さんならいいのか。そんな事より、どういう事だよ〜。留守じゃねぇのかよぉ〜。」
 
 
「タックンは彼女とハメハメしたいのに場所が無いしラブホに行くお金も無いんでしょ?」
「ハメハメって言うな!っていうかどうするんだよぉ〜彼女来ちゃうじゃんかよぉ〜!」
 
ピンポーン
 
「あ、タックンを私から奪った泥棒ネコが来たわよ。」
「泥棒ネコじゃねぇし!あ〜彼女になんて言おう…。」
 
「姉さんに任せなさい。」
「いや、姉さんじゃねぇし。」
 
「おいどんに任せるでごわす。」
「誰だかわかんない!キャラを絞れ!」
 
「いいから!タックン、私に任せなさい。」
 
ガチャッ
 
「いらっしゃ〜い、子猫ちゃん。」
「あっ、おばさん!あっ、あのご旅行じゃ…。」
 
「あぁ?コラ。人を捕まえてオバサンだぁ?」
「あっ…ス、スイマセン。」
 
「そうやってアタシの居ない間にタックンをたぶらかそうってのね。
 この…この泥棒ネコ!アタシのタックン返してよ!」
「オカン!暴走し過ぎ!っていうか話が違うだろ!」
 
「とりあえず上がんなさいよぉ〜。久しぶりじゃな〜い♪(高音)」
「あっ、でっ、でも…。」
 
「何度も言わせんな。とっとと入れ。(低音)」
「ハ、ハイ…。」
「コラ、オカン。彼女を脅すな。」
 
「だってぇ〜タックンは私がオナカを痛めてチャーハン炒めて産んだのにぃ〜。
 こんなポッと出の小娘にかっさらわれるなんてアタシ悔しい!悔しいのよぉぉぉ…。
 さ、ケーキを買っておいたから遠慮無しにパクついてちょうだい。」
「チャーハンは関係無いけど、ケーキは嬉しいな。
 どうしたの?オカン。今日は優しいね。良い事でもあったの?」
 
「今日は〜ちょっとかなりマジでサプライズな日なのぉ〜。」
「…今日って何かあったっけ?」
 
「実は〜アタシィ〜〜オメデタなのです!」
「えぇ〜!」
「マジかよオカン!」
 
「いつの間に?先々月は私とサトルさんの結婚記念日だったのよ?
 そんな日にハメハメしないわけが無いでしょ?野暮な質問ねぇ。」
「いや、そこまでリアルな話は聞いてないし!」
「・・・。」
 
「とりあえず、泥棒ネコ。アンタも祝ってちょうだい。
 その祝い方次第ではタックンを譲ってあげてもいいわ。」
「まだ泥棒ネコ言うか。」
「・・・。」
 
「どうしたの?小娘。ボーッとして。」
「…オバさん、ホントにおめでとうございます。良かったですね。」
 
「なっ、なによ。そんな純な反応をしたって何も出ないんだから!」
「ううん。ホントにおめでたいです。何か、私まで嬉しいです。」
 
「チャー子・・・。」
「オバさん・・・。」
 
「チャー子!」
「オバさん・・・私!」
 
 
「・・・いいのよ。何も言わないで、チャー子。アンタはイイ子ね。」
 
「私・・・チャー子じゃないんですけど…。」
「アタシもオバさんじゃねぇって言ったろ。」
 
 
2005/09/27


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