俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 524   溶ける氷(Oh my little boy)
 
 
僕には欠点がある。
いや、致命的な欠陥と言っても良いかもしれない。
 
 
僕は昔から緊張すると…。
 
チンチンが大きくなってしまうんだ…。
 
 
そのせいで何度恥をかいてきたかわからない。
一番地獄だったのは水泳の授業の時だ。
 
 
クラス対抗リレーをした時、運が悪い事に僕はアンカーになった。
ウチのチームと相手チームの差はわずかしかない。
勝つも負けるも僕次第だった。
 
みんなが僕に声援を送ってくる。
「頑張れよサトシ!」
「次、頼む!勝てるぞ!」
「サトシくん、頑張って〜!」
 
僕の緊張は嫌でも高まった。
絶対に勝つぞ!
よぉぉぉし!
 
熱くなった僕の血は一気に下半身のある一部分を大きくした。
 
あぁ、マズイ。
またこれだ…。
 
 
 
高まる声援
 
奮い立つ心
 
いきり立つチンチン
 
 
 
そんな時、バカのシゲオが騒ぎ始めたんだ。
「サトシ、超チンコ立ってる!アッハハハ!」
 
みんなが一斉に僕の股間に注目した。
大好きなユカリちゃんまで口元を押さえながら見て笑っていた。
 
恥ずかしくて死にそうだった。
今すぐにその場から消え去りたかった。
 
 
 
響く笑い声
 
熱くなる顔
 
いきり立つチンチン
 
 
 
 
恥ずかしいのに
 
ますます
 
いきり立つチンチン
 
 
 
前泳者はまだ帰って来ない。
「早く帰って来い!」
 
前泳者がひどく遅く思えた。
スローモーションでも見ているかのようだった。
 
しびれを切らした僕は、前泳者があと少しでタッチするというところで、
見切り発車気味に飛び込んだ。
 
その時、声援がワッと一気に大きくなった気がした。
 
僕は泳いだ。
全力で泳いだ。
 
泳いでいる最中に横をチラッと見た。
僕が一番だ。
このままなら勝てる!
 
勝てば汚名返上、名誉挽回だ。
そんな事を思い浮かべながら、そのまま全力で25m泳ぎきった。
 
壁にタッチして顔を上げると、なぜか怒号が飛んでいた。
「ふざけんなサトシ!」
「マジ、アホだろ!」
 
僕は一番でゴールしたはず。
それなのにどうして?
 
理由がわからず、キョロキョロしていると、シゲオが走って来て僕にこう言った。
「フライング勃起!」
 
見切り発車のスタートはフライングだった。
その日から僕のあだ名は『フライング勃起』になった。
ちょっぴり涙が出た。
 
 
 
その後も事あるごとに僕はこの欠点に悩まされた。
あがり症の僕にはどうしようもなかった。
 
「はい、この問題の答えを黒板に書いて下さい。」
授業中に指されて前に行くのは最悪だった。
 
 
 
黒板の前に立つと
 
緊張してしまい
 
いきり立つチンチン
 
 
 
ヤバイと思うと
 
ますます
 
いきり立つチンチン
 
 
 
その度に「勃起しすぎだし。」などとクスクスささやかれていた。
手に持っていたノートでコッソリ隠そうとしたりしていた。
 
 
学芸会も裏方になるしかなかった。
照明係はラクだったけど、やりがいは無かった。
 
いったい、いつになったら治るんだろう。
この欠陥がある限り、僕は表舞台に立つ事は無いだろう。
 
 
 
 
そう思い始めて十数年。
僕にも愛する女性が出来た。
 
 
彼女と付き合って数年。
今どき珍しい、と言われるほど健全な付き合いを続けてきた。
 
そんな関係を今日から一気に変えようと思っている。
そう。プロポーズをするんだ。
 
 
たまに行くBARのカウンターで僕らはいつものように談笑をしていた。
ただ、いつもと違うのは僕の内ポケットに指輪があるということ。
 
「これ、好きなの。」
そう言ってオリーブを口に入れる彼女の顔を見ると、とても幸せそうだった。
その愛らしい表情に見とれた時、胸がドクンと鳴った。
 
 
 
言わなきゃ。
今日こそは言わなきゃ。
 
 
 
「あのさ…大事な話があるんだ…。」
ゴクリとノドを鳴らし、唇をキュッとしばって覚悟を決めた。
 
 
緊張が僕を襲ってくる。
しばらく忘れかけていた、あの感覚が戻ってきた。
 
 
カラン
 
 
グラスの中の氷が溶けて転がり、グラスの中で音を立てた。
 
 
 
『言うんだ、今日こそ言うんだ。』
僕は心の中で懸命に自分を励ました。
 
 
同時に、ズボンの股間部が徐々に盛り上がって来た。
彼女に気付かれてしまうだろうか。
 
やましい気持ちがあるわけじゃないのに。
いや、全く無いわけじゃないけれど。
 
 
 
溶ける氷
 
奮い立つ心
 
いきり立つチンチン
 
 
 
内ポケットから指輪の箱を取り出し、それを彼女に開けて見せた。
「僕と…結婚して下さい。」
 
 
 
 
結果は大成功。
 
彼女は顔を少し紅潮させたまま、小さくうなずいてくれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、新婚初夜。
 
僕はやっぱり緊張していた。
 
 
 
 
今度ばかりはそれが役に立ったけどね。
 
 
 
 
 
 
:あとがき:
下品な話でスイマセン。
反省はしてません。
 
 
 
2008/10/18


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