あんなに恐ろしいヤツは見た事がねぇ。
俺は恐怖で身体が震えたもんさ。
ヤツは冷酷かつ残忍だった。
目の前で仲間は次々とヤツに殺されていったよ。
中でも酷かったのが、火の玉で焼き殺されたヤツだった。
苦しみながら消し炭になっちまったんだ。
跡形も残らないほどグチャグチャに踏み殺されたヤツもいたなぁ。
まるでロードローラーで潰されたかのように、ペシャンコさ。
ヤツにかかったらひとたまりもねぇからな。
ヤツと目が合った時は生きた心地がしなかったよ。
俺はパニックになって、慌てて物陰に隠れたんだ。
それから数分の間、俺はそこに隠れていたんだが、俺には1時間くらいに感じたね。
ヤツの気配はまだそこにある気がしたんだ。
だけど、さすがにこれだけ時間が経ってるんだし、勘違いかもしれないと思い始めた俺は、そこからそっと顔を出してみたんだ。
キョロキョロと辺りを見渡したが、ヤツは見当たらなかった。
俺は心の底から安堵したよ。
だが、次の瞬間に気付いたんだ。
俺の影に重なるように、帽子を被った男の影がある事に。
生きた心地がしないとは、まさにあの状況だよ。
そして、背中に熱を感じたんだ。
ヤツが火の玉で俺を焼き尽くそうと準備をしたのさ。
俺は顔を覆い、最期の時を待ったんだ。
だが、奇跡的に俺は助かった。
仲間が土管の中から足を引っ張ってくれたおかげだよ。
いやぁ、生きてるだけで、もうけもんだよ。
死んじまったら、元も子もないもんなぁ。
しかし、アンタも妙な事を聞きたがるなぁ。
この辺じゃ、赤帽子の事なんて恐ろしくて口にするヤツもいないのに。
俺の名前?
パックンフラワーってんだよ。
アンタは?
そうか、ルイージってのか。
よろしくな。
…しかし、アンタはヤツに似てるなぁ。
いや、気分を悪くしたなら悪かった。
おや?アンタも帽子を持ってるのかい?
緑色とはオシャレだな。
なんだい?その手に持ってる花は。
ファイアフラワー?
へぇ〜、キレイな花だねぇ。
誰かにプレゼントするのかい?
え?お見舞いする?
誰か入院してるのかい?
これから入院する?
どういう事だい?
ま、まさか…。
2009/01/18
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