俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 541   真剣に悩む男、ケイイチくん。2
 
「悩み過ぎだよ、ケイイチくん。」
「悩み過ぎて悪い事など無いし、人間は悩むからこそ尊いのだとは思わないか、君は。」
 
「かといって、何でもかんでも悩むのは馬鹿馬鹿しいじゃない。」
「馬鹿とは非常識な言動をする者を指す言葉だが、では常識的な人とはどのような人かと言えば、それは凡人に過ぎないのではないか、であるならば私は非凡でありたい、凡人よりも奇人変人でありたいと思う。」
 
「じゃあ馬鹿だって事?」
「馬鹿ではない者が凡人であるならば、馬鹿で構わない。」
 
「バーカバーカ。」
「…か、構わないさ。そんなのは凡人のやっかみに過ぎないからね。」
 
「今回は何を悩んでるの?」
「君の理解の範疇を越えている事さ。」
 
「そうか。じゃあ俺は帰るよ。ゲームしたいし。」
「まぁ待ちたまえ。たまには友と絆を深めるのも良い事だよ。」
 
「え〜、なんで?」
「愚にもつかぬ質問だな。友と絆を深めるのに理由はいらないさ。」
 
「いや、珍しい事を言うなと思って…そういや、テストどうだった?」
「テッ、テストの話は今は関係無いじゃないか!」
 
「いや、思い出しただけだよ。」
「今は友情を深める話だったんだから、そればかり話してればいいんだから、話は逸らしちゃいけないんだよ。」
 
「動揺してるな…点数が悪いと親に怒られるの?」
「そんな事ないんだから!馬鹿なことを言うもんじゃないんだから!」
 
「じゃあ何点だった?」
「なぜ、君に言わなければならないんだね!り、理由を言いたまえ!」
 
「ほら、悪い点数だから言えないんだろ。」
「ち、ちがわい!」
 
「じゃあ見せればいいじゃん。」
「イヤだ。お断りだ。」
 
「点数が悪くて言うのが恥ずかしいんだろ。」
「違うと言ってるだろ!」
 
「俺にバカにされると思ってるの?見損なうなよ。」
「ホ、ホントにバカにしないか?」
 
「うん、しないよ。」
「じゃあ、見せるけど笑うなよ。」
 
 
 
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
 
 
 
 
「ケイイチくん…。いつかは親に見せなきゃいけないだろ?」
「あ、あぁ…。」
 
「逃げたって始まらないよ。」
「…フン、毎日ゲームばっかりして、女遊びにうつつを抜かしてる君に言われるとはな。」
「ゲームは面白いもん。女の子はカワイイしさ。」
 
「君の点数も見せろよ!不公平だぞ!」
「わかった、わかったよ。」
 
 
 
 
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
 
 
 
 
「天は二物を与えるのか…。」
「いや、ちょっとは勉強してるよ?授業はちゃんと聞いてたし。」
 
「その程度でこんなに差が付くものか!愚弄するのか!」
「ケイイチくんは授業中も窓の外を眺めて、何か考え事をしてる事が多いじゃない。だからじゃね?」
 
「考える事は山ほどあるんだ!君とは違う!」
「そうだね、ケイイチくんはいずれスゲェ人になるんだろうなぁ。」
 
「そうだね。いずれ事業を興して、成功を収めるよ。」
「そしたらさ、俺をケイイチくんの会社で雇ってよ!」
 
「あぁ、いいさ。構わないよ。」
「やったー!」
 
 
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読者の皆さんは彼らの会話から将来が予想出来るでしょうか?
まぁ、このまま物語を続けて行くとすれば、逆転するのは目に見えてますな。
 
ケイイチは口だけビッグな男になり、プライドが邪魔して社会に適応できません。
結果、ニートになって、頼りにしていた親が死んで、ホームレスになって路頭に迷うのです。
 
友人の彼は誰にでも人懐っこく接し、エリート営業マンになるのです。
部下への面倒見も良く、誰からも慕われるの良い上司になるのです。
可愛い奥さんと子供に恵まれて幸せに暮らすのです。
 
 
全国のケイイチくん予備軍の皆さん。
チンケなプライドは足枷にしかならんのです。
 
「いずれビッグになる」って言っちゃう人間は、ほとんどが社会の役に立たない癖に口だけ番長。
とんでもない現実逃避のバカなんです。
 
ある日、思い付いたビジネス案を金の成る木と信じ込んで、
軍資金を集める事も出来ずに他力本願で事業を興そうとして、
あまりに独善的過ぎる考えに誰も付いて来なくなります。
 
もしくは、本当にそれが良いアイデアだったとしても、
もっと大きい企業が参入してきて一瞬で吹き飛ぶのです。
 
水商売をやってると、そんな人を腐るほど見るんですよ。
10年経っても変わらず酔っ払って同じ事を言ってます。
 
いずれ、それについても言わなくなります。
そして、自分を諦めて寂しい人間になります。
 
友達もいなくなります。
皆と仲良くしないからです。
「俺はコイツらとは違う」って思い続け、見下してるからです。
 
褒めてくれる人もいなくなります。
一緒に喜んでくれる人もいなくなります。
 
そして、いつか老いて酔っ払って路上で寝てしまいます。
冬空の下、孤独の中、冷たくなっていく身体。
 
 
 
「俺の人生って、なんだったんだろ…。」
それが人生で最後のセリフでした。
 
 
そうして、君は死んで行ったのです。
 
 
 
あぁ、良かった。
今ならやり直しがきくね。
 
まだ生きてるし、若いし。
良かった良かった。
 
 
これからは周りの人を大事になさい。
そして、恩返しなさい。
 
周りの人を大事にすれば、それが回り回って自分に返ってくるのです。
事業はそうやって発展させていくものなのです。
 
事業で成功したら、真っ先にお礼をするべき人がいるはず。
その人にお礼の気持ちを表しましょう。
 
 
俺様への礼は現金でな。
 
 
2009/05/15


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