俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 86   「ホストをやってます。」
 
彼女が出来ると相手の親とかには大抵言うんですよ。
水商売をやってたってね。
 
俺は水商売をやってることに信念を持ってたし、
俺の人間性を見せれば水商売をやってる事なんて関係無く、
俺自身を気に入ってもらえると思ってたし。
隠しててもいずれはバレる事だしね。
後ろめたいのも嫌だし。
 
あ、そうそう。
そんだけの信念を持って水商売をやってた俺でも
それを言うのに躊躇した事が一度だけありました。
 
ホスト時代の彼女で当時短大生だったエミの家に初めて遊びに行った時、
エミの親がエミに「彼氏来てるならゴハンを食べてもらったら?」と言ってくれたんで、
2階の彼女の部屋から1階の居間に行ったんですよ。
 
そしてドアを開けたらそこには家族全員が居たんです。
その当時の俺の髪は金髪。
家族は一瞬うろたえてました。(笑)
でも俺が笑顔で「はじめまして。お邪魔してます。」と言うと、
「悪い人じゃないんだな」と思ってもらえたのか、
向こうも笑顔で「こんばんわー。どうぞ座って。」と言ってくれました。
しかし流石の俺も多少は緊張してましたね。
こういう状況を想定してなかったもんで。
 
そして彼女の家族+1名でゴハンを食べ始めると、
早速来ましたよ。質問攻めタイム。
ここからはその時の会話のみでお楽しみください。
 
エミの母(以下エミ母)「ここら辺の人なの?」
有也「ええ、近いですよ。○○に住んでます。」(とびきりの笑顔)
エミ母「あら、結構近いのねえ。」(かなり笑顔)
有也「そうですね。歩いて10分くらいですね。」
 
エミ母「高校はどこ行ってたの?」
エミ「ちょっとーあんまり根掘り葉掘り聞かないでよー。」
有也「○○高校です。」
エミ母「あら頭いいじゃない!うちのお父さんの母校なのよ。」
有也「あ、ほんとですか?」
エミの父(以下エミ父)「お、俺の後輩かー。あそこはいいよな。」
有也「そうですね。大好きでした。」
 
ここまではいい感じだった。
偶然にも一家の大黒柱である彼女の父親と俺が
同じ高校の出身であった事が功を奏し、
俺の存在は彼らの中で「金髪の兄ちゃん」から
「金髪だけど結構勉強の出来る子」にランクアップしたらしい。
結構打ち解けてきたぞ。これはイケル。
そう思っていた。そう、ここまでは。
 
エミ母「で、今は働いてるの?何のお仕事をしてるの?」
 
俺は一瞬のうちに色々考えた。
「おいおい。来たよ。来ちゃったよこの質問。ここでこの状況で言うのか?しかし俺は別に後ろめたい事なんか無いぞ!水商売を信念を持ってやってるし、長く付き合うならいつかはバレる事だし、そんな事を隠して付き合ってもしょうがない。人間性は自信があるぞ。この家族とも仲良くやれるさ。コレを言った所で引いたりもしねえだろ。えーい!言ったれ!」
この間、約1秒だった。
 
有也「ホストをやってます。」
 
その次の瞬間、明るかった食卓から笑顔が消し飛んだ。
あの沈黙は長かった。
そしてその引き方は潮干狩りが出来るほどのものだった。
思わず俺は生唾をゴクリと飲んじまったね。
 
するとエミ父は「大変な仕事だよ。」と言い、
うんうん、とうなづいた。
 
それからしばらくの間、エミ母は俺に冷たかった。(;;)
まあ後々すごく仲良くなったけどね。
 
それからしばらくして彼女の家族とも仲良くなった頃、
「あの時、おじさんは本気でああいう風に言ってくれたのかなぁ」
とエミに聞くと、「イヤ、違うみたいよ。」と言われた。
「え?じゃあどういうわけだい?」と俺が聞くと、
「あの時は沈黙に耐えられなかったから
 何か言わないと、と思って適当に言ったんだって。」
とエミは笑いながら言ってました。
 
 
それから数年、エミはもう結婚してママになりました。
俺がカナと付き合うようになってから半年ほどして出来ちゃった結婚したんです。
 
おじさんとおばさんはよく納得したなあ。
いや、納得せざるを得なかったんだろうけど。(笑)
 
カナの親には目の前で言わずに、
彼女に「最初のうちにちゃんと言っておけよ。」と言いました。
もう目の前で潮干狩りが出来そうなくらい引かれるのはイヤだったんで。
 
 
2003/03/12


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