2年くらい前の設定だった。
元カノのカナとゲームショップにいた。
カナはプレステのソフトを手にしていた。
「これ、ちゃんと動くかなぁ。」
「なんだったら動作確認してもらえよ。」
カナが店員に話しかけている時、俺はふとカウンターの上の方を見た。
プレステの本体はかなり上の方に置いてある。
『あんな高い位置にあるんじゃ、なかなか届かないじゃないか。』
そう思っていた。
男性店員はカナに「プレステはあそこにあります。」と上の方を見た。
カナは背伸びしたがそこには届きそうになかった。
その時、男性店員はカナを後ろから抱き上げた。
男性店員は手をカナの脇の間に通し、さりげなく胸を触る形で抱き上げていた。
カナは突然の事にビックリしつつも、プレステのソフトを本体に入れた。
そして、俺の隣に戻ってきて「あの店員に軽く胸触られたんだけど。」と半ギレしていた。
男性店員は何食わぬ顔で動作確認をしていた。
動作確認が終わると、男性店員は普通に背伸びしてソフトを取った。
「はい、ちゃんと動作しますね〜。」
カナはソフトを受け取り、「普通に返されたんですけど。」とキレながら言った。
『抱き上げる意味があったのかよ。』と言わんばかりの勢いで。
俺は「くだらねぇ事ですぐにキレんな。」とカナをたしなめた。
それでもカナの怒りは収まらない。
店内に『蛍の光』が流れ、照明が次々と落とされていった。
俺は「閉店みたいだな。ほら、帰んぞ。」とカナにうながした。
ふと、レジカウンターの上の方を見ると、
AKIBA48だかのメンバーの詳細なプロフィールがカードになって売られていた。
名前、住所、趣味など個人情報が細かく調べ出されていた。
「…ああいうのって売っていいのか?」
個人情報保護法を気にして俺はそう呟いた。
それを見てカナは大声で言った。
「ああいう風にカード作って売れんだ〜!
じゃあココの店員のも作れば売れんのかな〜!」
店員を睨みながら、まだ続けようとしている。
その時、俺は一緒に居るのが面倒になった。
すぐにケンカ口調になる女と一緒に居るのはイヤだった。
「もう金輪際、オマエとは会いたくない!」
そう言って俺は家に帰ろうとダッシュした。
カナは後ろから追いかけてきた。
「待ってよ〜。」
「うるせぇ!付いて来るな!」
全力で走ってるつもりだが、スピードが全然上がらない。
お約束の夢ルールが適用されてんだろうか。
追いつかれたのでとっさに折り返して反対方向に逃げた。
途中、トタン屋根の自転車置き場の上に飛び上がって、
なかば障害物レースのノリになっていた。
しばらく逃げていると目の前にボロいチャリで走るゆうなの兄貴がいた。
いや、ゆうなには兄貴なんていないんだけど、なぜかそんな設定だった。
俺がゆうなの兄貴のチャリに追いつくと話しかけられた。
「おお、オマエか。あの女はなんだ?まさか浮気じゃねぇだろうな。」
「浮気じゃないよ。浮気なんかする気も起こらないよ。」
「そうか。」
「会ってたのは元カノだけど、浮気じゃない。」
「ああ、あの子、元カノだっけか。」
「うん。」
「よし、後ろに乗れ。」
「どうやって?」
荷台はボロボロでどう見ても座るのはヤバそうだった。
立って乗るのがやっとだった。
「オマエ、これからどこに行くんだ?」
「もう家に帰るよ。」
早くゆうなに会いたかった。
「そうか。そりゃ残念だな。俺はあそこに行こうと思っていたんだが。」
ゆうなの兄貴の視線の先にはマクドナルドがあった。
でも看板はケンタッキーのカーネルサンダースだった。
「ドナルドソンのトコに行くの?」
俺はわざとマクドナルドの事をそう呼んだ。
「あぁ、あれが食いたいからなグラ…ポテ…。」
ゆうなの兄貴は『グラコロ』が思い浮かばずにいるようだ。
「ポテグロが食いたいからな。」
あ〜あ。間違えちゃったよ。
ポテグロって。
グロテスクなポテトかオイ。
笑いそうになった所で目が覚めた。
2006/04/11
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