俺は鍵を手にしたものの、すぐにはドア開けず、周囲を見渡した。
人の気配は無い。
他の部屋からの物音もしない。
よし、行くか。
俺は鍵をあてがい、ゆっくりと回した。
鍵穴からカチャッと小気味よい音が響いた。
ドアを開けると、中から湿った空気が流れてきた。
この部屋はしばらく使われていないんだろうか。
俺は土足で中に入って行った。
入ってすぐ両脇にキッチンとユニットバス、ドアを開けると部屋が一室。
90年代に流行ったワンルームマンションの典型だ。
『そうだ、押し入れのスイッチを探そう。』
俺は押し入れのふすまを開けた。
押し入れは二段になっていて、上の段は巨大な木箱で覆われていた。
下の段には赤い大きめのスイッチが一つあった。
俺は下の段に潜ってそのスイッチを押した。
プシュッ
「イタっ!」
何かの発射音と共に背中に痛みが走った。
何かが背中に刺さったようなカンジがした。
俺は自分の背に手を回した。
10センチ程の針が背中に刺さっていた。
「イテェ…なんなんだ…こりゃあ…。」
刺さっていた金属製の大きな針を背中から抜いて、
俺はそれがなんなのかを考えていた。
針の先には穴が空いていた。
その直後、急激な眠さに襲われた。
睡眠薬か…?
更新日:2006/07/17
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