コソ泥日記
俺の職業はコソ泥。
コソコソと泥棒を働くケチな野郎だ。



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17  その17
俺は突然の声に驚き、とっさに叫んだ。
「誰だオマエは!」
 
すぐに声は返ってきた。
『そんな事は知らなくて良いんだよ。どうせ会う事は無いから。』
 
「ここに閉じ込めたのはオマエか?」
『そうだよ。』
 
「身代金目当てなら残念だったな。俺にはそれを金を払ってくれる家族なんかいねぇんだ。」
『金なんて求めてないよ。』
 
「じゃあ目的はなんだ。」
『そのうちわかると思うよ。』
 
「クソ、勝手にしろ。」
『そうさせてもらうよ。』
 
 
声が消えた途端に照明が消え、耳が痛くなるほどの静寂に包まれた。
 
「あー、あー。」
音が全く無いのが不快で俺は声を出した。
 
ずっと声を出してるわけにもいかず、パンパンと手を叩いて反響させてみたり、鼻歌を歌ったりもぞもぞと寝返りをうったりした。
 
 
しばらくそんな事をしていると、また例の『声』が来た。
 
『音が無いのはイヤだったかい?』
「あぁ、何か音をくれ。」
 
『わかったよ。それじゃ水の音をあげよう。』
「水の音?」
 
『雨垂れ、川のせせらぎ、波の音だよ。』
「なんでもいいからくれ。」
 
『ちょっと待っててくれ。』
 
 
 
しばらくすると雨音とポチャリと雫が垂れる音が聞こえて来た。
俺は少しだけ安心してそのまま寝てしまった。
 
 
更新日:2006/09/09




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