コソ泥日記
俺の職業はコソ泥。
コソコソと泥棒を働くケチな野郎だ。



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21  その21
?月?日
部屋の照明がついていた。
こぼしたはずのスープの跡は無かった。
 
反対側の壁にモニターがあった。
そこに映っているのはナイフを持った赤い覆面の男だった。
真っ白な廊下をひたすら歩いている。
 
『起きたかね。』
 
スピーカーから『声』が来た。
 
「何だ、この映像は。」
『退屈しのぎに見たまえ。』
 
断る選択肢は無いんだろう。
俺はモニターを見る事にした。
 
 
赤覆面の男はナイフを後ろ向きに握ったまま歩いている。
しばらくすると男の正面から青い覆面の男が歩いて来た。
 
赤覆面の男はすれ違いざまに青覆面の男の喉元を切り裂いた。
 
俺は驚いて思わず身を乗り出した。
「これは…本当に殺してるのか?」
 
喉元を切られた青覆面の男は両手で傷口を押さえている。
血は止まるはずもなく、真っ白な廊下がどんどん赤くなっていく。
 
 
更新日:2006/09/27




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