次の日。
夕方になってから京也は真理を店に連れて行った。
駅の反対側にあるキャバクラ【GIRLY】は家から歩いて10分程の場所にあった。
「ここだ。俺の知り合いがオーナーをやってる。」
「なんかこういうトコ初めてだから緊張する。」
「すぐ馴染める。心配すんな。」
店のドアを開けて中に入ると、ボーイが忙しそうに動いていた。
奥に居たオーナーが京也に気付き、声を掛けて来た。
「京也、久しぶりだな。ありがたいよ。ちょうど女の子欲しかったんだ。」
「お久しぶりです。ご無沙汰しちゃって。」
「色々と噂に聞いたよ。大変だったな。」
「・・・タナさん、その話は・・・。」
京也の表情が曇った。
「あ、あぁ、悪かった・・・。」
タナさんは『しまった』というような顔をした。
真理はそのやりとりが少し気に掛かった。
タナさんは真理の顔を見て場を取り繕うように言った。
「あ!この子かい?いいじゃないか。」
「あ、初めまして。二階堂真理です。」
「二階堂?この子も?」
「あぁ、俺が付けたんです。」
「・・・そうか。じゃあ俺も責任持って預かるよ。」
「ただ、コイツはまだ17なんです。誕生日は少し先で。」
「あと何ヶ月だい?」
「来月です。9月です。」
「来月ならすぐじゃないか。OK、預かるよ。」
「すみません、宜しくお願いします。タナさん。」
「お世話になります。」
「えーと、今日から働くかい?」
「え!今日からですか!?」
「うん。早い方がいいだろ?せっかく来たんだし。」
「でもこの服じゃ…。」
「服ならウチでも借せるから大丈夫だよ。」
「真理、今日は平日だ。週末だと店が忙しくてゆっくり教えられないんだよ。」
「そうだねぇ…今日は特に教えるには都合が良いんだ。俺もずっと店に居るし。」
「じゃあ今日からやります!」
「そうか!よーし、そうと決まったら早速教えるよ!」
「はい!お願いします!」
「じゃあタナさん、俺はこの辺で。」
「おう、真理ちゃんのフォローは任せてくれ。」
「はい。ありがとうございます。真理、頑張れよ。」
「うん!」
京也は真理の頭にポンポンと手を置き、店を出た。
真理とタナさんは京也を外まで見送る事にした。
真理は京也が見えなくなるまでその背中を目で追っていた。
タナさんはそんな真理の横顔を見て少し微笑んでいた。
京也が見えなくなった頃を見計らってタナさんは店のドアを開けた。
「よし!じゃあ行こうか、真理ちゃん!」
「ハイ!」
今日からアタシの名前は【二階堂真理】だ。
2006/11/23更新
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