京也さんは私の言葉に驚きも笑いもせず、冷静にこう言った。
「キミの言う"大人"って何だい?」
「え…。」
「大人になりたいというからにはいいモノだと思ってるんだろ?」
「それは…。」
「良いと思うものがあるんだろ?だから大人になりたいんだろ?」
「大人の世界を見たいの!」
「君が聞いたのはどんな大人の世界?」
「私が聞いたのは…深い関係の話。」
「深いって?」
「自分の好きな人が他の女の子と遊んでても嫉妬しない、とか。そういうのが大人の恋愛なんでしょ?」
「それはただのヤセ我慢じゃないかな。それか本当に好きじゃないんだ。」
「本当に好きだって言ってた。」
「じゃあその子は辛い思いを堪えてるんだね。」
「そうなのかな…。」
京也さんはハルカの事だとわかってて言ってるのかな。
私の小さな胸はギュッと締め付けられた。
更新:2004/12/05
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