君と居ると、二人ぼっちになる。
春風に抱かれ、手を繋いでいても、心晴れやかでも、
世界には君と俺しか残っていないような気分にさせられる。
不安は、常に刃物を背中に当てられているように背後に迫り、
孤独は、そこら中に当たり前のように転がっている。
誰かに話しかけられても、その人は“自分たち以外の何か”として過ぎ去る。
なぜだかわからないけれど、“入ってくるな”という空気も出してしまう。
世界には君しかいないから、俺は君を求める。
そうしているうちに、君の中の孤独が俺の中にも入ってくる。
傷だらけになって、カサブタだらけになって、
「もうキライになったでしょう?」と君が言う。
そんなことない。
「そんなことはないよ。」と口にも出す。
その病気は君のせいではないから。
君だけが傷付くことはないから。
君に対する哀れみと、君に対する慈しみで、君を包んでいてあげないと、
君が形を失くしてしまいそうな、そんな気がして、何度も何度も包む。
念入りに包む。
「あなたは優しいからそうするんでしょう?」
“私のことが好きだからではないんでしょう?”に続く言葉を君が吐く。
君しかいないから。
「俺には君しかいないから。」と口にも出す。
俺は君に取り憑かれてるんだろう。
それは自分でもわかってる。
だけど、このまま死んでも構わない。
どこかでそう望んでもいる。
君と共に死にたい。
俺の言葉が嘘ではないということの証明をしたい。
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