俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 321   犬と俺
 
犬は嫌いだった。
小型犬が嫌いだった。
 
 
小学一年生の頃、近所にチワワを飼っていたバアさんがいた。
そのバアさんは日曜にチワワを散歩させていた。
 
いや、いつも散歩させていたのかもしれないが、
朝の11時くらいに俺が確認できるのは学校の無い日曜だけだったのだ。
その頃は週休二日制などというヌルいモノも無かったし。
 
話を戻す。
ある日曜の朝、俺が近所で遊んでいると、
そのバアさんがいつものようにそのワンコを散歩させていた。
 
俺はチワワの顔がイマイチ好きじゃなかった。
犬のくせにネズミみたいなツラしやがって、とか思っていた。
 
その時、チワワの上を飛び越えたくなった。
こんなに小さい犬だ、飛び越えられるだろう、みたいな軽い気持ちだったのだ。
 
そしてダッシュしてジャンプし、ヤツを飛び越えて真上に来た瞬間、
ヤツは俺の方を見上げて大きな声で吠えだした。
俺は空中でドキッとし、慌てふためいて逃げた。
 
それ以来、チワワに近づくとドキドキした。
ハッキリ言って逃げ腰だった。
 
これでトラウマ1。
 
 
 
小学二年生のある日、商店街にホカ弁を買いに行った。
これも日曜の昼だったと思う。
 
オカンが『たまにはお弁当でも食べよう』と言って、俺が買い物を頼まれたんだ。
その時、店先にパグがいた。
 
俺は以前のチワワの件でかなりビビっていた。
だが、飼い主が一緒に居るから安心だろうと思っていた。
 
しかし、ヤツにはリードなど繋がれていなかった。
それに気付いた瞬間、ヤツはこちらに気付いた。
 
「ウ〜ワンワン!」
いきなり吠えられて俺は後ずさりした。
 
その隙をヤツは見逃してはくれなかった。
ヤツは俺を追い掛けてきたのだった。
 
慌ててダッシュで逃げた俺は近くにあった電信柱に登った。
ヤツはそれでも下から俺を吠え続けた。
 
俺はヤツに言ってやった。
「怖ぇ〜!メッチャ怖えぇ〜!」
 
これでトラウマ2。
 
 
しかし、犬全部が嫌いになったわけではなかった。
秋田に居る叔父さんのトコのジロは大好きだった。
 
幼稚園の頃はジロが着いてくるのは追い掛けているんだと思って泣いたりもした。
しかし、叔父さんに「有ちゃん、ジロは追い掛けてるんじゃないよ。懐いてんのよ。」
と言われてからはジロと仲良くなった。
 
ジロは賢い犬だった。
立ったまま腕を横に出し、「飛べ!」と言えばそれを飛び越えた。
 
俺と兄貴はジロに会うのが楽しみだった。
秋田に行くのが大好きなのはジロに会えるからでもあった。
 
しかし、小学四年生のある日、ジロが死んだと知らされた。
叔父さんから電話が掛かってきてオカンが事情を聞いたのだが、
原因は毒ダンゴを食べた事にあったらしい。
 
秋田の家の近所に野良犬がうろついていて、
あるバアさんがゴミを漁られる事に腹を立てて毒ダンゴをこさえたらしい。
 
ジロは自分だけで散歩に行く事もあった。
その時に毒ダンゴを食べてしまったのだろう、という話だった。
散歩から帰って来たジロはフラフラしていて、すぐに息を引き取ったらしい。
 
俺と兄貴はそれを聞いて悔しくて泣いた。
そのババアをどうやって殺そうかと考えていた。
 
俺はこんなに悲しい思いをするなら犬を飼いたくない、と思った。
 
これがトラウマ3。
 
 
この3つのトラウマで、俺は犬に近付こうとも、ましてや飼おうとも思わなくなった。
 
 
 
そして月日は流れて21歳のホスト時代、俺にユウという彼女が出来た。
その子の家にはチャッピーという名のヨークシャーテリアが居た。
 
最初は吠えられて少し怖かったが、
「この子は気が弱いから吠えてるだけだよ。」と言われると、
ホストをやってきた経験に当てはめて、
「A型の警戒心バリバリ女みたいなモンか。」と思えるようになった。
 
そしてチャック(チャッピーのアダ名)とも徐々に仲良くなっていった。
俺が布製のフリスビーを投げると喜んで取ってきた。
俺は「遊んでくれる人」と判断されたのか、
俺が家に来ると喜んで玄関から居間まで着いて来て、
俺が座るとその横で尻尾を振りながらジーッと俺を見つめて待っていた。
 
チャックのおかげで俺の犬嫌いは直った。
 
 
そして24歳になった時、親友のメグんちのミニチュアダックスのバズに出会った。
このバズが俺を犬好きにしてくれた。
 
バズは賢く、愛嬌のある犬だった。
指をピストルのようにして「バン!」と言えばコロッと倒れる。
『お手』と『おかわり』の区別がつく。
「おいで」と言えばヒザに乗る。
ボールを投げれば取ってくるが、なかなか口から放そうとしないのはご愛嬌だ。
 
 
そして、最近になって我が家でも犬を飼い始めた。
マロンという名前のミニチュアダックスだ。
 
俺は飼う前に一度は反対した。
犬の寿命は人間よりも短い。
いつかは先に死んでしまう。
自分も悲しい思いをしたくないし、妹にも悲しい思いをさせたくなかったのだ。
 
そして、生き物を飼うからには愛情を持って最後まで育てていく覚悟が必要だと思った。
妹にそこまでの覚悟が出来ているのかを確認したかったのもあった。
 
そんないきさつがあった後、俺が家に居ない時に親父からメールがあった。
6軒ほどのペットショップを回ってから、一番最初の店で会った子に決めたと言っていた。
 
俺は家族が増えたようで嬉しかった。
暇があれば遊ぶようにしている。
 
妹もマロンを凄く可愛がっている。
妹は世話好きなのに末っ子だから面倒を見る相手が欲しかったのもあるだろう。
妹が「マロン、ダメでしょ」と叱ったりしているのを見ると非常にほほえましい。
 
 
 
そんなこんなで、今では犬が大好きだ。
 
 
2005/04/07


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