俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 472   仮説・ウサギとカメ
 
弱い個体の飽くなき挑戦が強い個体を越える。
【うさぎとカメ】の話はまさにそれを指すものだ。
『努力は才能を越える』『努力を怠るなかれ』とでも言いたかったんだろう。
 
しかし、カメは努力して速くなったわけではない。
ただ、単にウサギがレースを辞めただけだ。
 
あの話、本当はこういう話だったんじゃねぇだろうか。
 
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ある日、カメがノソノソと歩いていると、ウサギが野原を駆けてきた。
 
ゆっくり歩いているカメを見るなり、ウサギはバカにした様子で声を掛けた。
「よぅ、ノロマの鈍ガメ!オマエは遅いなぁ。世界一遅いんじゃねぇのか?
 それに比べて俺様の俊足!オマエなんか天地がひっくり返っても勝てやしないぞ!」
 
これに腹を立てたカメは勝負を挑んだ。
「何だと!よーし、勝負だ!向こうの山のふもとにどっちが先に着くか、競おうじゃないか!」
 
ウサギはこれを聞いて大いに笑った。
「オマエが俺に勝てるわけないだろ!ハハハ!いいぜ、やってやるよ!絶対に勝つ!」
 
「負けた方が土下座だ!」
カメはいきり立っていた。
 
「おぉ、望むところだ!」
ウサギは余裕の表情でそれを受けた。
 
「いちについて、よーいドン!」
合図と同時にウサギは物凄いスピードで小道を駆け抜けて行った。
カメはノソノソと歩き始めた。
 
「ちくしょう…俺は…負けたく…ないのに…。」
カメはウサギの背中を見て悔しがった。
 
ウサギはあっという間にゴール付近に着いていた。
後ろを振り返ってもカメは見えない。
 
木の根元に腰を下ろし、ウサギはボーッと待っていた。
全力で走って少し休んだお陰で冷静になったウサギは色々と考え始めた。
「カメさん遅いなぁ。…俺もちょっとおとなげなかったかもしれない。
 俺、ちょっと足が速いだけでカメさんをバカにしたりなんかして…。
 …ここらでカメさん来るのを待っていてあげようかな。かなり待つだろうけど。
 それで、一緒にゴールして…2人で祝杯を上げよう!うん、そうだ!そうしよう!」
 
カメが辿り着くのはまだまだ先になるだろうと思い、
ゴール近くの木の根元でカメの到着を寝て待つウサギ。
 
しかし、起きてみるとそこには驚くべき光景があった。
ゴール地点でカメがウサギを指差して大笑いしているのだ。
 
「アハハハハ!あれだけ言ってたのに寝てて負けてやがんの!」
カメは完全にウサギを見下した目で見て笑っている。
 
「え…。」
ウサギは呆然とした。
カメの事を思ってわざわざ待っていたのに、この言われ様。
 
「バカじゃねぇの!このネボスケウサギ!何が絶対に勝つ、だよ!ハッハッハ!」
カメの罵倒はまだまだ続いていた。
 
『あぁ、彼はなんと醜い笑い方をするのだろう。
 これが他人をバカにする時の笑い方か。同じ事を俺はカメさんにしたのだ。
 こんなに醜いものとは気付かなかった。もう二度とするまい。』
 
ウサギは自分の行いを恥じた。
それでもカメの笑いは収まらない。
 
「何が俊足だよ。自慢の俊足も寝ながらじゃ使えねぇだろ!
 オマエ、脳ミソ湧いてんじゃねぇの?アッハッハッハ!」
カメはまだ笑い転げている。
 
「はは…。」
ウサギは笑えなかった。
カメをこんな風に醜くさせたのは自分の責任だと痛感していた。
 
「早くしろよ!テメェ、土下座だよ!」
カメはウサギに命令した。
 
「申し訳ない…。」
ウサギの目から涙がこぼれ落ちた。
生まれて初めてする、心からの謝罪だった。
 
「申し訳ないじゃ済まねぇんだよ!この軽口ウサギが!今さら遅ぇんだ!クソ野郎!」
カメはウサギを許さなかった。
 
「すいませんでした…。すいませんでした…。」
ウサギは何度も何度も頭を地面に擦り付けて謝った。
目を真っ赤に腫らし、声が枯れるほど謝り続けた。
 
 
ウサギが鳴かなくなったのは、この事件がキッカケであると言われる。
ウサギは軽口を叩くのを辞め、そのうちに声帯が退化してしまい、鳴かなくなったそうな。
 
ウサギの目が赤くなったのも、この事件がキッカケであると言われる。
ウサギは自らの過ちを悔いて長時間泣き明かした末に、目が赤くなったそうな。
 
ウサギの毛が白くなったのも、この事件がキッカケであると言われる。
ウサギはカメの追い込みによって精神を病んでしまい、毛が全て真っ白になったそうな。
 
 
日本において、このウサギの子孫は今でも見られる。
日本白色種:ジャパニーズホワイトといわれる種類がこれに当たるのだ。
 
 
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という、いつもの有也の妄想話でしたとさ。
めでたしめでたし。
 
 
2007/01/14


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