ゆうなと2人でセンチュリーハイアット東京に休憩した。
2時間の休憩だ。
『休憩2時間て。ラブホじゃないんだから。』と思いつつも休憩した。
ホテルのドアは中途半端に開いていて、
何度か掃除のオバちゃんが入ってきそうになってるのがわかった。
2時間が経つ頃、部屋に備え付けてあるインターホンが鳴った。
ゆうながインターホンを取り、「あと1分だって。」と言った。
急いで出る支度をしなければ、という事になった。
まだ俺達がいるのに部屋に清掃員が入ってきていた。
清掃員とはいってもそいつは高校生くらいで、
『おやおや、若いカップルがホテルで休憩ですか。』とでも言いたげな顔で見ていた。
『感じ悪いな、このホテル。』と思いつつも荷物をまとめるオイラ。
ふと、テレビの辺りを見るとファミコンの本体が置いてあり、
ルナーボールとかいうファミコンソフトが挿してあった。
その奥にはドラゴンスレイヤー?が挿してある本体があって、
さらにその横にもなんかのソフトが挿してある本体があって、
その横には黒いファミコンの本体と普通の本体が立てかけてあった。
その奥にはソフトが6本くらい並べておいてあった。
壁際にはスーパーファミコンの本体が2、3個立てかけてあった。
「頭悪っ!」
俺は思わずそう口走った。
本体は1個でいいじゃねぇか。
どんだけ非効率だ、センチュリーハイアット東京。
っていうか、なんでセンチュリーハイアット東京にファミコンがあるんだ。
マイ(仮名)とヨシ(仮名)が「早く行こうよ。」と急かした。
いつの間に来てたんだろう。
ともかく、3人は支度が出来ていたので「先に出て。」と言った。
俺もすぐに支度を終わらせ、走って3人が乗るエレベーターに乗ろうとしたが、
エレベーターの前に着いた所でちょうどドアが閉まった。
「あ〜ぁ、行っちゃった〜。」
『まぁいいや。仕方が無い。』と思い、エレベーターのボタンを押して、
ふと自販機コーナーに目をやるとそこには懐かしい自販機がいっぱいあった。
商品が放射状に並べられた懐かしいタイプの自販機があった。
『うわぁ〜。どんだけレトロだ、このホテル。』
そう思っているとエレベーターが来た。
1階ロビーに降りると、ゆうなとヨシとマリが見当たらなかった。
俺の目が悪くて見えないだけかもしれないが。
しばらくエレベーター前で待っているとフロントの所にゆうならしき人を発見した。
見ると手招きしている。
ゆうなに「探しちゃったよ。」と言い、フロントで精算をすることに。
『26800円です。』
2時間でこの料金か。
あんなクソみてぇな部屋だったのに割に合わないな。
高いよ。
そう思いつつ、しぶしぶクレジットカードを出そうとすると、
ヨシが「俺が6800円出すよ。」と言ってカードを通した。
ナニ、この子。やたらカッコイイんですけど。
残りの20000円を払うため、俺はカードを通した。
ロビーのあちこちにホテルの清掃員がいっぱいいた。
ココの清掃員はゴム手袋をして灰皿と爪切りの掃除をするのが仕事だ。
面白そうなので俺もちょっとだけ手伝うことにした。
なんか雑巾が落ちていたので拾った。
それをしばらく持っていた。
従業員の休憩場に雑巾を入れる箱と爪切りに入っていた爪を捨てるゴミ箱があった。
俺はそこに雑巾を入れようと思い、近づいていった。
近くに居た清掃員のオバちゃんの腕章をふと見ると、
『私達はこの雑巾で男性用の便器を掃除するのが仕事です。』とか書いてあった。
イヤァァァァ!
アタイ、その雑巾を手で持ってるぅぅぅぅ!!
雑巾を持った手を自分で『エンガチョ』と思いながら、
持っていた雑巾を使用済みボックスの中に入れた。
そして灰皿の中から失くしたはずの指輪を見つけた。
いや、実際に指輪なんて失くしてないが。
その直後、指輪を失くしたという清掃員の主任みたいな人がいた。
彼はみんなに『大佐』と呼ばれていた。
「大佐、俺も指輪を灰皿のゴミの中から見つけましたよ。」と教えた。
すると、大佐は自分の手に持っていたペットボトルを覗き込んで、
「あったぁぁぁあああああ!!」と叫んだ。
見るとペットボトルのキャップにピッタリとハマって取れなくなっている。
『どういうマジックをしたら、そんなトコにハマるんだ。』
そう思いながらも俺は彼の行動を見守った。
すると大佐は半分くらい中身の入っているペットボトルに再びキャップを締め、
「おぉぉらぁぁぁぁああ!」と壁に向かって投げた。
壁に当たったペットボトルはスコンをいう音を立てた。
その壁の近くにいた人が「大佐!中に入ってます!」と言った。
壁に当たった衝撃でボトルキャップから外れ、中に沈んだらしい。
その時、場内は歓声に包まれた。
バカかこいつら。
バカには付き合ってられないので俺はホテルを後にした。
しばらく歩いていくと雪景色になり、焼き鳥屋があった。
中に入ると奥の座敷に兄貴がいた。
隣の座敷のテーブルを従業員が清掃していたので、俺は兄貴の隣に座った。
「これがウマイんだよ。」と兄貴は鳥皮をほおばった。
俺も残りのヤツを食った。
ジューシーで美味しい。
「よし、そろそろ出るぞ。」
そう言って兄貴は席を立った。
『え?早いよ、兄貴。俺は来たばっかなんですけど。』
と思ったが、兄貴が出ようとすると同時に店の人も出ようとしていたので、
『あぁ、なんか一緒にどこかに行く用事があるのか。』と思った。
外を見ると雨がパラついていた。
「雨降ってるよ。」と俺が言うと、「え〜?ホントに〜?」と店の人が嫌そうに言った。
「ほら、俺の言ったとおりじゃん。だから早く出なきゃダメだって言ったのに。」
後ろにはいつの間にかオトンがいた。
雨の降る町を見ていると、おばあさんが通りかかった。
「この辺に駅はどちらになりますかね?」
「え?この辺には駅はありませんよ。ず〜っとあっちの方になります。」
俺はそう言って駅の方を指差した。
「あら〜ぁ、そうなんですか。ご親切にどうも。」
そう言っておばあさんは立ち去っていった。
店の軒下に傘が置いてあったので、
「傘があるから大丈夫だよ。」と店員の1人に渡した。
するとオトンが「いや、彼は自転車で行かなきゃいけないの。」と言った。
『そうなのか。』よくわからんけど、興味が無いので深くは聞かなかった。
店のちょっと先には畑があった。
誰かが畑を耕さなきゃいけないんだけど、
そこの家の人は誰も耕運機を運転できなかった。
ちなみにそこの家の一人娘は、
niftyのデイリーポータルZでライターをしている乙幡啓子さんだった。
『あら、お久しぶり。』と思っていたら、乙幡さんは「私が運転してみる。」と言い出した。
家族は乙幡さんが無免許で乗ることに反対していた。
『でも、言い出したらホントにやっちゃうんだろうなぁ。』と思いながら俺はその場を去った。
しばらくすると、一方通行を入っていくロードローラーがいた。
『アレはまさか…?』なんとなく、乙幡さんじゃねぇの?と思った。
後ろからはパトカーがついて行っていた。
「ちょっと曲がりきれないからココ使ってUターンするから見逃して〜!」
乙幡さんはパトカーに向かってそう叫んだ。
パトカーも赤灯を回してなかったので、捕まえる気は無いだろう。
そのままロードローラーはかなり急な坂をムリヤリ上って行った。
俺はその場に行って『よく登れたなぁ。』と思った。
そこは自転車さえも下ったら危険なくらいの急斜面。
これはもはやコレは道路じゃない。崖だろ。
実際、自転車で小学生の女の子たちが通りかかったが、横にズリ落ちている。
これはヤバイ。
早く乙幡さんに知らせなければ。
こんなに急なのにUターンして坂を下ろうものなら転げ落ちてしまうことだろう。
俺は急いで坂を上っていった。
幸い、乙幡さんは既にロードローラーから降りていた。
「こっちから降りるのは危険です。死にますよ。」
そう言って、遠回りだが傾斜のなだらかな道を薦めておいた。
ふと、歩道を見るとそこには怪獣の足跡のような模様があった。
『なんだ?アレは。』
そう思って近付いてみると、その足跡はスーッと動いていった。
もっと近付いてゆっくり見ると、3本足だった足跡が4本足になったり5本足になったりしていた。
これはどういう事だろう。
俺がそう思っていると、後ろから声が聞こえた。
「それはサワランステップだよ。」
振り返ると、そこには知らないオッサンがいた。
「サワランステップ?」
俺がそう聞くと、おっさんは答えた。
「サワランという小さな虫が作ってるんだ。」
俺はその足跡に近寄って目を凝らした。
すると、赤い小さな虫が大群で木の実を並べ替えている事がわかった。
その5mmほどの虫たちはゴキブリの倍くらいの速度で動いていた。
「スゲェ!」
俺は昆虫の神秘に感動していた。
そこで目が覚めた。
:注意:
これは夢の話です。
現実のセンチュリーハイアット東京とは何ら関係ありません。
現実のセンチュリーハイアット東京に休憩はありません。
現実のセンチュリーハイアット東京は掃除の人も勝手に入ってきません。
現実のセンチュリーハイアット東京はファミコンも置いてません。
現実のセンチュリーハイアット東京はとても感じの良いホテルです。
8階まで吹抜けのロビーには1基1億円の巨大シャンデリアが3基あります。
OZmallトラベルで8800円のプレミアムステイなどもあります。
季節のケーキ食べ放題!スイーツブッフェもやってます。
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