なんか小学校にもう一度入るコトになった。
といっても短期間のお試し企画らしいんだけど。
そこには小学生の時に毎日遊んでいた2人がいた。
俺は笑顔で声を掛けた。
「久しぶりだな。」
彼らも俺に気が付いた。
「おぉ〜、有也。」
2人とも笑顔で波止場に座っていた。
俺もその間に入って少し話す事にした。
「まさか、この年になって小学生をもう一度やるとは思ってなかったよ。」
「な!」
「俺もだよ。」
しばらくするとチャイムが鳴った。
でも俺らは教室に向かわなかった。
「コンビニで何か買って行くか。」
「そうしようぜ。」
それぞれパンとかカップラーメンとかを買って店を出た。
店を出る時、俺らはホストっぽい服装になっていた。
ホスト時代の部長、Tさんが俺らを呼んでいた。
「有也はよく頑張ってくれてるよ。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ後で店に来いよ。」
「はい。」
再び小学校に戻り、友達2人と少し話した。
「どうしよう。俺、明日には帰らないといけないんだよね。」
「あ、そうなのか。じゃあ今日給料がもらえるようにTさんに言ってやるよ。」
「うん。」
「じゃあTさんトコに行こうぜ。」
コンビニの前を通ると、車を路駐しようとしている人がいた。
運転が下手で何回も切り返している。
「違うって!もうちょっとこっちだって!」
運転手のツレらしき人が口うるさく大声を上げている。
うるせぇなぁ。大して変わらねぇよ。
そんな事でいちいち大声を上げんな。
俺はそいつのヒステリックな態度にイラッとしていた。
「さっきと変わんないよ!そんな小さいコトにこだわったらいけませんって!」
「ハハッ、そうですかねぇ。」
「そういう小さいコトにこだわる人ってどういう人か知ってます?」
「?」
「チンポコがちっちゃい人なんですよ!アーッハッハ!」
俺はそう言ってわざとらしく笑い転げてやった。
ところが、運転してる人を見てそれを後悔した。
会社員時代の先輩のMさんじゃん。
暴言を吐いた上にこんな格好してるし…。
俺の服装はどう見てもホスト。
これはMさんに気付かれる前に逃げるしかねぇ。
俺は急いでコンビニに隠れた。
まともな社会人のMさんなら追ってくる事はないだろう。
しかし、友達が慌てて俺のトコに駆け寄ってきた。
「なんかさっきの人が絶対シメるって言ってたよ。
出てこないならオマエらが責任取れって言われた。」
あ〜ぁ。こりゃもうムリだな。
しょうがない。友達を巻き込むのはイヤだから出て行くか。
いや、ココはいっちょダッシュして俺に引き付けるか?
ココは駅前だし、一気に駅の階段を駆け上がって反対口に出ればいいか。
「おっしゃ!来いやコラァ〜!」
俺は勢い良くコンビニから飛び出して駅の階段に向かった。
「あっ、あの野郎!待てコラァ〜!」
計算通り、ヤツらは俺を追いかけてきた。
明日には帰るという友達を見送れないのは残念だけど、仕方が無い。
俺はちょっと寂しい気持ちになった。
だが、それでも生きてりゃまた会えるだろう。
すぐにそう思い直すと、少し気が晴れた。
そこで目が覚めた。
2006/08/23
|