夢の話


管理人・有也の見た夢のコラム。
夢は潜在意識の表れだというが・・・変な夢ばっか。

 68   桜舞い散る春のそよ風の中で。
 
穏やかな春の昼下がり。
庭では桜が咲き乱れていた。
 
「あ〜、平和だなぁ。」
俺は縁側のある和室から庭を眺めながら、
座布団にあぐらをかいてノホホンとしていた。
もう1人誰かが居て、その人と話をしている最中だったんだと思う。
 
なぜか俺は坂本龍馬だった。
 
なぜそうなったかはわからない。
なぜ自分でそれがわかるのかもわからない。
 
その時、突然に新撰組が斬り込んできた。
 
「うぉぉぉおおお!!!覚悟せぇぇぇい!!!」
生死を賭けた斬り合いが始まり、怒号が響く。
 
俺はいきなり頭を斬り付けられ、身体も何度か斬られた。
こんな大ケガじゃ出血多量で死んじまうじゃないか。
 
必死で刀を握り締めた時、ふと思った。
『こんなシーン、歴史上に無くね?』
 
しかし、敵はガンガン斬り込んでくる。
完全に本気モードじゃないか。
黙ってたら殺られるな。
 
よく見たら敵は3人。
そして、新撰組じゃないっぽい。
 
よくわかんないけど、自分は負けない予感がした。
夢の中でこの予感がする時は都合の良い展開になる。
少なくとも、相手との斬り合いには勝てるはずだ。
 
向かい来る刃を刀で受け止め、弾いて両腕を斬った。
返す刃でもう一人の身体を一気に斬り捨てた。
 
残るは一人。
 
…ヤバイな。
コイツは俺と刺し違える気だ。
 
覚悟を決めた目をしてやがるな。
メンドクセェ。
 
ヤツは中段の構え…。
振り上げて懐が空いた瞬間に突くか?
 
ヤツが動いた!
振り上げ…フェイントか!?
ヤツは振り上げる途中で刀を横に返し、斬りつけてきた。
 
これはもうかわしきれない。
あえて斬らせて油断させよう。
 
俺はわずかに身を引いた。
ヤツの刀は俺の腕を浅く切り裂いていった。
致命的なダメージにはならないギリギリの深さだ。
 
これくらいのリスクは払ってやる。
だが、それで終わりだ。
 
俺の刃がヤツの身体を抜け、血飛沫を上げた。
会心のひと振りだ。
 
ヤツの身体は左脇腹から右肩にかけて裂け、
ドゥッ、と音を立てて倒れ込んだ。
 
「フゥ…。」
ひと息ついて辺りを見ると、妻が倒れている。
 
「まさか…そんな…!」
慌てて駆け寄り、血まみれになった妻を抱き起こした。
 
「あなた…ごめんなさい…。」
妻は自分の身が長くない事を知っているようだった。
 
「死ぬな…死ぬな…!」
ただ願う事しか出来なかった。
 
「私…最後までお荷物だったね。」
「そんなわけないだろう!」
 
あぁ、ダメだ。
もうおしまいだ。
コイツが死んだらどうやって生きて行けばいいんだ。
 
「あなたのこと…大好きで…一緒にいられて…幸せでした。」
妻はガクリと頭を垂れて目を閉じた。
 
「ダメだ…まだダメだ…!起きろ…!」
俺は妻の身体を揺さぶって必死に起こした。
 
「あなた…。」
妻が再び目を開けた。
 
「そうだ…起きてろ…。」
そんな俺の言葉を聞いて、妻は残念そうに首を振った。
 
「もう…逝くね…。」
それが、妻の最期の言葉だった。
 
「どうして…!!!なんでだよぉぉ!!!うぅ…。」
痛いほどの悲しみは心を握り潰さんばかりに締めつけた。
 
たまに吹くそよ風は庭に咲き乱れる桜の花びらを散らしていた。
 
 
そこで目が覚めた。
 
「なんで龍馬?全く興味無いけど?」
それが寝起きの第一声だった。
 
坂本龍馬に興味も無いし、本を読んだ事もない。
新撰組と同じ時代なのかも知らないし、いつ死んだのかも知らない。
奥さんがいたのかどうかも知らない。
 
なんでこんな夢を見たんだろう。
 
 
2007/05/07



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