「…キミもだと!?」
その時、後ろからゴトリと音がした。
振り返るとそこには紺色の覆面と暗器が落ちていた。
『キミはその覆面を被り、そのクナイを持って戦うんだ。』
「俺は殺しなんてしないぞ。俺はただのコソ泥だ。」
『うん。戦わなくても構わない。死ぬだけだから。』
「なんだと?」
『キミが生きるためには勝ち続けるしかないんだ。』
『声』はイヤらしく笑った。
「…どういう事だ。」
『もう薄々気付いてるはずだよ。キミのようにココに連れて来られた人間は他にも居るって事に。』
「…何人居るんだ?」
『さぁ、どうだっけね。100人は越えてるはずだよ。』
「犯罪者め!」
『全員、なんらかの罪は犯してるよ。キミもそうじゃないか。コソ泥くん。』
「俺は人殺しなどしてない!」
『罪は罪だ。五十歩百歩なんだよ?』
ヤツの溜め息が部屋に響き渡った。
『それに人間が数人減ったところで世界には影響ないよ。』
「…おまえに人間の心は無いのか?」
『キミには人間の心があるっていうのかい?』
「オマエよりはな!」
『アッハッハッハ!それを五十歩百歩って言うんだよ!』
「クッ…。」
『とりあえず、今日から特訓したまえ。殺されたくなければね。』
俺はクナイを手に取って眺めた。
更新日:2006/09/30
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