コソ泥日記
俺の職業はコソ泥。
コソコソと泥棒を働くケチな野郎だ。



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24  その24
クナイの柄の部分に巻かれた布にドス黒い血の跡が付いていた。
 
「中古品か…。」
『それを手に取って自殺した者もいるよ。』
 
自殺…。
俺なら絶対に選ばない選択肢だ。
 
だが、極限状態に陥ったらどうなるかわからないな。
実際、この状況は異常過ぎる。
 
前のヤツはこの状況に耐えられなかった。
それも仕方が無いのかもしれない。
まともな環境で育ってきた人間なら狂ってしまうだろう。
 
『キミも自殺するかい?』
「誰がそんな事するか!」
 
『そりゃ良かった。やる気になってくれたようだね。』
 
テメェらを殺してやる。
それまでは絶対に生き抜いてやる。
 
『では、キミに教えておこう。』
「なんだ。」
 
『一人殺す毎に一千万円だ。』
「なに!?」
 
『キミへの報酬だよ。』
「一千万…。」
 
『だから他のヤツも必死になってるんだ。』
「死にたくないだけじゃないのか。」
 
自分が死にたくないだけなら他の連中も同じこと、それだけなら徒党を組んで暴動を起こす事も考えられる。
だが、金が掛かってるとなれば話は別だ。
 
 
『みんな最初はためらうんだ。次に麻痺していく。』
「…………。」
 
『そして最後に……殺しのエキスパートになる。』
 
…殺しのプロってわけか。
殺らなきゃ殺られるわけだし、何人も殺してるうちに麻痺もするんだろう。
 
最初は生きるための唯一の手段だったのが、賞金も貯まってきて欲が出たわけだ。
わかりやすいヤツじゃねぇか。
 
 
更新日:2006/10/02




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