「オマエの匂い、こないだお台場行った時に良い匂いだなぁと思ってたんだ。」
「えっ…。」
「俺、こういう匂い好きなんだよね。」
「そっ、そうなんだ。」
ドキドキは止まってくれない。
違う。京也さんはこのオーデグッチの匂い自体が好きなんだ。
別に私が好きだからこの匂いを着けたいんじゃないんだ。
勘違いしないように必死で自分に言い聞かせた。
勘違いだったらショックを受けるから。
だから最初から違うって言い聞かせるんだ。
私は臆病だ。
でもしょうがないんだ。
これも自分を守るため。
自分の小さな胸を痛めないため。
「ん?どうした?行くぞ〜。」
優しく穏やかな顔で京也さんが言った。
更新:2005/01/09
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