しばらく泣いたら、だんだん落ち着いてきた。
京也さんはティッシュを数枚取って、私の頬を伝うマスカラ入りの黒い涙をトントンと押さえるように優しく拭いてくれた。
「あ、化粧落ちちゃった!」
泣き過ぎて鼻の詰まった声で私がそう言うと、京也さんは「アハハ。鼻詰まっちゃってるね。」と笑った。
「しかし、他の男の事をそこまで想われてるとちっと痛いな。ハハッ。」
京也さんはため息混じりに苦笑してそう言った。
「えっ?」
京也さんの言葉に私は驚いた。
「ど、どういう意味?」
私は顔を上げて聞いた。
「何でもない。ただ・・・。」
京也さんは言いかけて止めた。
「ただ…何?」
私は問いただした。
「俺、自分で思ってたよりもオマエの事を好きみたいだ。」
そう言うと京也さんは決まり悪そうに目を逸らした。
しばらく沈黙が続いた後、京也さんが言った。
「あっ!そうだ。ビデオ見るんだ!」
更新:2005/02/04
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