京也さんのマンションに着くと、京也さんはもう起きてスーツに着替えていた。
「今日は早起きだろ?」
京也さんが笑顔でそう言った。
「どうしたの?こんな時間に起きてるなんて珍しいね。」
「オーナーに呼ばれてるんだ。」
「オーナー?社長さん?」
「う〜ん、まぁそうだね。俺らを雇ってる人。」
「じゃあ、いつもより早く行っちゃうの?」
「うん。もうそろそろ出る。」
「え〜。」
私は思わず残念そうな声を出してしまった。
でも、言ってすぐに後悔した。
お仕事なんだから邪魔しちゃいけないのに。
ワガママ言う女なんて面倒だと思われちゃう。
つい、寂しくて言ってしまった。
もっと『理解ある大人の女』になりたいのに。
「ゴメンな。飯は一緒に食えないや。」
京也さんが申し訳無さそうにそう言った。
「ううん!お仕事だもん。頑張ってきて!」
私は挽回しようと、笑顔でそう言った。
京也さんは私の頭を撫でながら笑顔で言った。
「無理しないでいいよ。寂しいと思ってくれるのも嬉しいから。」
京也さんにはかなわない。
更新:2005/02/22
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