その店は繁華街の端っこにあった。
店の入り口には写真が沢山貼ってあった。
−主任 二階堂京也−
京也さんの写真の額にはそう書いてあった。
「京也さんは主任なんだね。」
ミッコがそう言って私の顔を見た。
「そういえば私、何も知らなかった。お店のコトもどのくらい売れてるのかも。」
写真の京也さんを見てると何だか違う世界の人っていう感じがした。
「主任っていうと、そこそこ売れてるんじゃないかな。」
ミッコはそう言った後、店の入り口に向かって歩き出した。
私は焦ってミッコを止めた。
「ちょっと待ってミッコ!いきなり行くの!?」
ミッコはキョトンとしながらこう言った。
「いきなり行かなかったら何でここまで来たの?」
確かにそうだった。
京也さんに会うためにココまで来たんだ。
でも、何て言ったらいいのかわからない。
心の準備が出来てなかった。
ミッコはさらに続けて言った。
「心の準備なんていつまで迷ってても出来ないよ。
思い立ったが吉日なんだって。ママが言ってたよ。」
そしてミッコが扉に手を掛けた。
その瞬間、私たちの後ろから声がした。
「アレ?ひょっとしてお客様っすか?」
振り返ると小柄で元気そうなホストが私たちを笑顔で見ていた。
更新:2005/03/26
|