私は寝てしまっていた。
ミッコは机に向かって勉強していた。
「ゴメン、ミッコ。寝ちゃった。」
「あ、起きた?クロと一緒にスヤスヤ眠ってるから笑っちゃったよ。」
「クロっていうんだ、この子。」
「うん。クロはね、私が小学生の時に庭に入ってきたの。私、兄弟が居ないからクロがウチに来て嬉しかったんだ。」
「おとなしいね。」
「うん。噛んだり引っ掻いたりはしないよ。話し掛けるとずっと目を見て聞いててくれるの。」
「クロとよく話すの?」
「うん。クロはいつも優しいの。私が泣いてる時は心配してくれるし。」
「そうなんだ。大人なんだね。クロちゃん。」
「あ、そうだ。おばさんに電話しといたよ。今日はウチに泊まるって。」
「ホント?ありがとう。ゴメンね、ミッコ。」
「いいよ。」
「さて、どうしますかね。京也さんのコト。」
「…どうすればいいんだろう。」
「クロちゃん。どうすればいい?」
「答えてくれるの?」
「たまにね。」
ミッコは笑って答えた。
クロは伸びをして大きくアクビをした。
「大した問題じゃないってさ。」
ミッコはそう言って再び笑った。
更新:2005/04/13
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