Love at once


 95   森の夢
 
「もう一回寝てごらん。夢の中でクロが答えてくれるかもよ。」
「え〜ホントに?」
 
「私の夢にはよく出てきてくれるよ。」
「…じゃあ寝てみる。」
 
「じゃあ寝かしつけてあげる。」
 
ミッコは私をベッドに寝かせて布団を掛け、ずっと布団の上からトントンと手を当ててくれた。
私はそのゆっくりとしたリズムでウトウトしてきた。
 
 
気が付くと私は森の中に居た。
「ココはどこなんだろう。」
 
辺りは静かで木ばかりだった。
私は森の奥の方に続く道を歩いて行った。
 
しばらく進んでいくと、動物たちが輪になって集まっていた。
クマやウサギやタヌキに囲まれてクロが切り株の上に立っていた。
 
「クロさま、人間が来たよ。」
ウサギが私に気付いて声を上げた。
 
動物たちはササッと道を開け、私を見つめていた。
 
「道に迷ったのかね?」
クロは穏やかな口調でそう聞いてきた。
 
「私…私はどうしたらいいのかわからない。」
私はそう言ってうつむいた。
 
「…愛は消えてない。諦めたくないなら進みなさい。」
クロがそう言うと辺りが真っ白になった。
 
 
気が付くと朝日が差し込んでいた。
ミッコはベッドの横で眠っていた。
 
クロは部屋の真ん中で私の方を見ていた。
 
「ありがとう、クロ。」
私がそう言うと、クロは「ミャォゥ」と鳴いた。
 
 
更新:2005/04/15


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