「もう一回寝てごらん。夢の中でクロが答えてくれるかもよ。」
「え〜ホントに?」
「私の夢にはよく出てきてくれるよ。」
「…じゃあ寝てみる。」
「じゃあ寝かしつけてあげる。」
ミッコは私をベッドに寝かせて布団を掛け、ずっと布団の上からトントンと手を当ててくれた。
私はそのゆっくりとしたリズムでウトウトしてきた。
気が付くと私は森の中に居た。
「ココはどこなんだろう。」
辺りは静かで木ばかりだった。
私は森の奥の方に続く道を歩いて行った。
しばらく進んでいくと、動物たちが輪になって集まっていた。
クマやウサギやタヌキに囲まれてクロが切り株の上に立っていた。
「クロさま、人間が来たよ。」
ウサギが私に気付いて声を上げた。
動物たちはササッと道を開け、私を見つめていた。
「道に迷ったのかね?」
クロは穏やかな口調でそう聞いてきた。
「私…私はどうしたらいいのかわからない。」
私はそう言ってうつむいた。
「…愛は消えてない。諦めたくないなら進みなさい。」
クロがそう言うと辺りが真っ白になった。
気が付くと朝日が差し込んでいた。
ミッコはベッドの横で眠っていた。
クロは部屋の真ん中で私の方を見ていた。
「ありがとう、クロ。」
私がそう言うと、クロは「ミャォゥ」と鳴いた。
更新:2005/04/15
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