繁華街を歩いていくと前からヤクザっぽい人がダイちゃんに声を掛けてきた。
「おぅ!ダイ!」
「あ、お疲れ様です!」
「誰か、イイ女いねぇのかよ?」
「居たらすぐに連れて行きます。待ってて下さい。」
「ん?この子、売れそうじゃねぇか。この子、ウチにくれよ!」
「いやぁ〜、この子はツレの彼女なんで!
今、交渉してる子でスゲェ子居るんで来週辺り持って行きますよ。」
そのヤクザっぽい男の人はジーッと私の顔を覗き込んだ。
私は怖くて目を逸らして地面を見ていた。
「そうか…わかった。励めよ、ダイ!」
そう言ってその男の人はダイちゃんの肩をポンと叩いた。
「ありがとうございます!」
ダイちゃんはその人に頭を下げた。
信号の所で高そうなベンツに乗り込んでその男の人は去って行った。
「ビックリした?あの人は事務所のカシラなんだ。この辺で店を何軒かやってる人だよ。」
「連れて行かれるかと思った…。」
「京也の彼女だから連れていかせないよ。俺が京也に殺されちまう。」
「京也さんってそんなに怖い人なんですか?」
「今は穏やかなイイヤツだけどねぇ、昔は荒れてた事もあると言ってたよ。」
そういえば、私は京也さんの過去をまだよく知らない。
過去の事は聞いちゃいけないものだと思って聞けなかったんだ。
更新:2005/04/20
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