俺のたわごと

ま、たわいのないことばっか書いてますけど暇なら見てね。
日々の考え事、昔の事などが書いてあります。

 492   地震の思い出。
 
最近は『新潟といえば地震』というくらい、新潟は地震の被害に見舞われている。
※これは2007年8月に書いたものです。
 
ウチの兄貴も現在は新潟在住なので、大きな揺れがある度に心配しているのだが、
当の本人は『おぅ、俺んトコは関係ねぇぞ。まぁ新潟は広いからなぁ。』などと、
毎回、相変わらずなノーテンキ加減で言っている。
憎らしい子!
 
さて、俺も地震には嫌な思い出があるのだ。
今回はその話をしようと思う。
 
 
あれは小3の時だった。
担任の先生が休んで、代わりに美術の先生が授業をやっていた時だった。
 
水彩画を画用紙に描くという、美術にありがちな授業だったが、
その日は美術室ではなく、教室でやっていたのが新鮮だった。
 
美術の先生は今にも死にそうなハゲのジイさんだった。
名前は宮下先生だったか。
 
そのジイさんは急にガキの面倒を見る事になってダルかったのか、
「職員室に行ってくるので、しばらく続けて下さい。」
と言い残して去って行った。
 
先生の居なくなった教室は徐々に騒がしくなっていった。
その時、教室全体がグラグラと揺れ始めたのだ。
 
「あ、揺れてる!」
「キャー!」
「防災頭巾かぶって隠れろ!」
 
みんなは普段からやっていた防災訓練の時と同じように、
素早く防災頭巾をかぶって机の下に隠れた。
 
ガタンガタン
 
まるで電車みたいな揺れ方だ。
机の下に隠れた後も揺れはまだ続いていた。
俺達は必死に机の足を押さえて縮こまっていた。
 
しばらくして、揺れが治まった頃に美術のジイさんが帰ってきた。
「大丈夫でふか!?」
かなり取り乱したカンジで入って来た。
 
落ち着けジジイ。
まずはゆっくり入れ歯を噛み合わせるんだ。
 
みんなはまだ机の下から出ようとしなかった。
揺れはまたすぐに来る可能性が高いからだ。
 
「もう大丈夫でしょう。」という美術のジイさんの声で、
みんなは恐る恐る机の下から出て来た。
 
「怖かったね〜!」
「スゲー揺れてた!」
みな口々に感想を漏らした。
 
「凄い揺れでしたね。」
ジイさんが言った。
みんな、その言葉にうんうんとうなずいた。
 
みな、興奮覚めやらぬといった様子だった。
東京ではなかなか大きな地震というのが無いので、慣れていないのだ。
もちろん、俺も例外ではなかった。
 
みながまだ呆然としてる中で俺がジイさまに言った。
「電車みたいだった!」
「ハァ!?なんだって?」
 
ものすごい勢いで聞き返された。
別に大した事を言ったわけじゃないのに、
もう1回言わなきゃいけないような流れ。
 
「いや、あの…。」
「なんですか!?」
 
「いえ…電車みたいだと思いました…。」
「あぁ、そうですね。ところで…。」
 
わざわざ言い直したのにスルーされた。
もうイヤ、このハゲ。
 
この日から俺は老人と話す時はなるべくわかりやすい話し方にする事に決めた。
どうでもいい事を聞き返されるのがこんなに苦痛だとは思わなかった。
 
そんなわけで地震にはあまり良い思い出が無い。
 
 
2007/10/24


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